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サマーウォーズの戦い方─その2:世界中で「こいこい!」 |
さてそういう流れとなると、〈コミュニティ〉に集う「すごい人々」がそれぞれの個性を発揮して困難を解決する話になりそうだ。しかも〈コミュニティ〉は見かけ上〈家族〉なのだから、むしろファミリズムを強化するのでは?実際、途中までそんな感じで話が進む。だがクライマックスに向けて、細田×奥寺は、特権的なコミュニティ(「すごい家族」とか)が事態を解決するという構図すら、書き換えてしまう。
(以下のレビューには、ストーリー上のネタバレが含まれています。気になる方は、映画をご覧になってから、どうぞ。)
サイバーテロの首謀は「ラブマシーン」というAIで、それとの戦いは、これまで「キングカズマ」というアバターと「ラブマシーン」による一対一の殴り合いというスタイルをとっていた。後半でもまず、「キングカズマ」で勝つために、カズマ君やケンジ君らによるチームが健闘する。でも、「ラブマシーン」には敵わない。つまり特権的なチームでも、事態には対応できないことがしっかりと示される。その上で、主人公のケンジ君は、〈戦い方〉そのものの変更を提案するのだ。
提案されたのは「花札」である。「花札」はギャンブルだ。だから、「ラブマシーン」との戦いも、それまでの〈バトルモード〉から〈ギャンブルモード〉へと移行する。ギャンブルに、個体の能力差に基づくヒエラルキーはない。誰であっても、〈賭け〉さえすれば、勝つ可能性を手に入れることができる。そういう形態において、はじめて、どんな人々でも戦いに参加できるのだ。
このギャンブル設定は、まず〈花札対決〉が、キングカズマの〈チーム〉だけでなく、ナツキ先輩の親族〈全員〉の戦いとなることを可能にする。さらに対決の最中で、〈親族というコミュニティ〉だけでは掛け金が足らなくなる事態へと主人公たちが追い込まれるにつれ、ギャンブルであることはいよいよ決定的な重要性を帯びていく。そうやって細田×奥寺は、特権的な〈チーム〉や単一の〈コミュニティ〉だけでは事態が解決不可能なことをはっきり示した上で、ナツキ先輩の勝負に「賭ける」という仕方で、他のコミュニティの人々を戦いに参加させるのだ。かくして世界中で「こいこい!」である。
そういうわけで、キングカズマによる決闘とナツキ先輩による花札対決とでは、まるで意味が違う。もはや人々は、単独のヒーローが悪を倒す姿を、指をくわえて見てはいない。自らの状況を左右する事態に積極的にコミットしていくのだ。そんな状況へのスタンスと、そうしたコミットを可能にする戦い方。そのアクチュアリティが、『サマーウォーズ』では主張されている。
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