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魚住太郎(デルタポップ主宰)インタビューpart2


インタビュイー:魚住太郎(デルタポップ主宰)

インタビュアー:山内泰、北村慶介

構成:笹野正和、山内泰

 

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お待たせいたしました!魚住太郎さん(デルタポップ主宰) ロングインタビューpart2です。

 

ドネルモ
vol.1のときって、男女比はどうだったんですか?

魚住さん
8:2ぐらいですかね。やっぱり男の方が多くて。コスプレしてる人には女性が多いから、女性が多いように見えるけど。でも最近では結構、女性も増えてきてますね。

成長するイベントとオタクのパワー

ドネルモ
やっぱりそういう潜在的なニーズがあったということでしょうか?オタクは、皆で集まって聴くというクラブ的なイベントを、ずっと求めていたとか?

魚住さん
それはやっぱり、〈オタク〉というものがここ数年で変わってきていることがあると思うんです。ニコニコ動画とかの影響がすごく強くて。特にニコニコ動画で、皆で集まって「踊ってみた」というのがあって。そういうのから、皆で集まって踊ったりするのは楽しいのかなっていうのがあるんでしょうね。それは大きいと思いますね。

ドネルモ
なるほど。デルタポップの動員数、vol.1以降は回を重ねるごとに、増えていってるんですか?

魚住さん
今のところ、おかげさまで、一度も減ったことはないですね。

ドネルモ
それはすごいですよ!

魚住さん
前回の9回目は、1回目から比べたら3倍以上増えてますね。

ドネルモ
300人超えたって、おっしゃってましたよね。ちなみに、2007年5月に1回目をされて、どのくらいのペースでされてるんですか?

魚住さん
2か月に一度くらいですね。途中がちょっと空いてたり、あ、そうそう、1回イレギュラーな形で「DeltaPopえくすたしぃ」っていうのをやったりはしてますけど。

ドネルモ
オールエロゲーのやつですよね(笑)

魚住さん
そう(笑)。全曲エロゲー・ギャルゲーの曲だけ聴くという。これは未知数だったんですよ。

ドネルモ
でしょうねえ(笑)。どうしてそれをやろうと思ったんですか?

魚住さん
やっぱりスタッフが、自分もですけど、エロゲー・ギャルゲーが好きなんで、デルタポップの中にはさみ込もうと。デルタポップは、それでもアニソン中心でやってるので、エロゲーの曲とかは、なかなか紹介できないんですよね。それでギャルゲーオンリーでやったら、お客さんはどれくらい来るのかな、と。

でもやっぱり、オタク層の中でも、エロゲーやギャルゲーの曲は主流ではないんですよ。だから不安はあったんですけど、やってみたいという気持ちのほうが強くて(笑)。ちょうどvol.8とvol.9の間にやったんですけど、「えくすたしぃ」には、vol.1の時の、あの緊張感がありましたね(笑)。準備段階から楽しかったですね。

そしたら130人くらい来たのかな。こんなの、福岡だけだと思いますよ。東京とかだと、人口がもともと違うから、そこそこ来るかもしれないけど。まあ、全国のクラブイベントとかコスプレダンパとか見てても、エロゲーの曲といっても、たとえばニコニコ動画で人気のある『きしめん』(*1)とかだったら、どこでも使われてるんです。でも、ガチのエロゲーものはないですね。何でないのかなあ、とも思うんですけどね。

ドネルモ
たしかに。やってみたら、130人も動員したわけだから、ここにも潜在的なニーズがあったってことですよね。

魚住さん
好きな人も多いんだから、これからもまた定期的にやれたらいいかなあと思います。お客さんが来ないと、パーティは成立しないんで。だから、お客さんが望んでいる限り、やっていくつもりです。大風呂敷を広げるつもりはないですけど、業界全体が盛り上がってほしい、と。自分も少しでもそのお手伝いができればいいかなっていう気持ちがあるんで。

エロゲーとかは、とくに今、ちょっと厳しいところがあるから。そんな中、普段あまり聴くことのないエロゲーの曲でクオリティが高いものもあるんだ!ということを知ってもらえる機会になればいいかな、と思いますね。

ドネルモ
いい話ですね!感動的だなあ(笑)。130人も集まるって結構なことですよ。

魚住さん
(笑) まあ、デルタポップ本体もそうなんですけど、何でこんなにお客さんが集まるのかっていうので、一つ思うのは、まあ、やっぱりこの業界ってマイノリティなんですよ。クラブシーン全体から考えてもですね。

でもこれは、サイレントマジョリティみたいなものでもあるのかなって思うんですよね。やっぱり秘めたるパワーというか、欲望に忠実な力というのは、オタクの方が強いんですよ。何でも形にできますからね、二次元は。欲望にこれだけ忠実な世界もないんじゃないかな。

ドネルモ
サイレントマジョリティっていうのは、そうかもしれないですね。魚住さんもおっしゃってたように、〈オタク〉って言葉でイメージされるのって、世代別でけっこう違うでしょう。すそ野はどんどん広がってて。そういうところには、まだまだニーズはあるでしょうね。

 

ボランティアなデルタポップの組織

ドネルモ
では少し話題を変えて、デルタポップに関わっているスタッフの方は、どういうつながりで、どういう人がいるんですか?

魚住さん
DJは、もともとロックのDJをやってた人とか、コスプレダンパのDJとか、バンドからとか。後のスタッフは、もともとお客さんだった人とか。もともと遊びに来てた人で、向こうから手伝わせてくださいって言ってきてくれて、スタッフになった人が多いですね。あとうちは、フライヤーとかウェブデザインとか、関西の方に頼んでます。そういう感じで、自然と集まってきましたね。デルタポップから募集したことはないんです。

ドネルモ
スタッフの方って20人くらいいらっしゃるんですよね。結構な組織ですね。

魚住さん
そうですね。うちは物販とかもやってますから。あとデルタポップには、他のクラブイベントにないものとして、コスプレがあるんですよ。だからコスプレの順番待ちとか誘導・整理のスタッフが必要になってくるんです。

ドネルモ
クラブでコスプレって、やっていいとか悪いってあるんですか?

魚住さん
場所によりますね。ホールとかだったら、コスプレは困るというところもあるんですけど。ライブハウスとかには、前もってこっちから「コスプレのお客さんが来ると思うんですけど大丈夫ですか?」と聞くんですよ。今までデルタポップがやってきたクラブは、受け入れがよかったですね。うちはコスプレイベントではないので、コスプレを積極的に推奨するわけではないんですが、コスプレを楽しみたい方はトイレで着替えてもらって、その誘導とかはうちのスタッフがやります。

ただ整理券を配っても20枚くらいが一瞬でなくなったり、いろいろ問題があってですね。トイレを使って着替えるので順番が詰まって、待ち時間が長いとか、苦情が来たりはします。そのへんの対応は常に考えてるんですけど、なかなかうまくいかないところがありますね。

あとレイヤー(コスプレイヤー)の人には、カラースプレーとかを使って壁を汚したりするのはご遠慮ください、とアナウンスみたいなことはしています。・・・だから普通のクラブと比べたら、特殊なところはあると思います。

ドネルモ
そういうところでのスタッフの方のお仕事って、なかなか見えてこないですよね。大変なんですね。

魚住さん
そうですね。スタッフには本当に苦労をかけていると思います。

ドネルモ
デルタポップは非営利って書かれているじゃないですか。では、スタッフの方にはペイしてるんですか?

魚住さん
それはないです。オール・ボランティアです。

ドネルモ
えー、すごい! まさに善意で作り上げてるんですね。そっか、みんなで、自発的に、自分たちで作っていってるんですね! ニコニコもそうじゃないですか。自分たちで集まって、別にお金がもらえるわけじゃないけど、とにかく楽しいからやってる、という。そんな感覚なんでしょうね。

魚住さん
コンセプトは、ほぼそれと同じですね。DJとかもよく、儲かってるんじゃない?とか言われるんですけど、自分達は私的なことにデルタポップを使ったことは一度もないです。たとえば、うちのメンバーに長崎の人間がいるんですけど、交通費も全部自腹です。物販の、今着てるこのTシャツなんかも全部実費です。お客さんからもらったものは、すべてお客さんに還元するというかたちですね。

ドネルモ
お客さん本位なんですね!

 

デルタポップのコンセプトと広がり

魚住さん
デルタポップには、まあ、やっていく中で考えていったことなんですが、コンセプトみたいなのがあってですね。DJが主役のイベントじゃないんですよ。お客さんが主役なんですよ。特に今回のデルタポップのコスプレのお客さんなんかは、主体的に参加してくれることで、その人たちが主役になってるんです。

デルタポップって、いろいろな楽しみ方があると思うんですよ。自分たちは別にコスプレを推奨しているわけじゃなくて、ただフロアでぼーっと音を楽しんでてもいいし、スペースで友達と話しててもいいし、一人で来て楽しんでくれる人とか、そういういろんな人に対応できるイベントに、これからもしていきたいと思っています。

ドネルモ
魚住さんが、そうした〈お客さんに開かれたあり方〉を積極的にコンセプトとしてあげてらっしゃるとこに、デルタポップの人気の秘密があるような気がしますね。クラブって、歴史的に、まあ良くも悪くも、クローズドなコミュニティであるところに、かっこよさがあったわけで。でも、そういうクラブのあり方と、デルタポップは一線を画してますよね。

魚住さん
自分が思っているのは、最初に言ったように、一人で部屋で聴くよりも、こういうでかい所で、でかい音で、いい音で聴いたりすると、また新しい発見があったりするし、そういう聴き方を体験してほしいってことですね。

お客さんとしてお金を払ってくださいじゃなくて、楽しんでほしい、という思いだけですね。だから営利目的でもないし、楽しんでくれる人が増えてきたらいいな、と。それをきっかけに、自分は福岡にこだわりが強いですから、福岡全体が盛り上がっていってくれればいいな、と思います。

ドネルモ
お客さんの層は、ここ3年間で変わった感はありますか?

魚住さん
そうですね。まず女性が増えてきたというのがありますね。あと、毎回来てくれるお客さんもいるんですけど、新規のお客さんがどんどん増えていく中では、若い層が多いですかね。20代前半くらいが一番多いんじゃないかと思います。コスプレの方も結構増えてきてると思いますし。

それと、デルタポップのひとつの特色として、ミクシィの方でコミュニティがあるんですよ。〈デルタポッパー〉と言うコミュニティがあるんですけど、デルタポップのファンが集まって作ったもので、120人くらいいると思います。その人たちで飲み会やオフ会を企画したりして。自分たちでデルタポップを盛り上げていこうという仲間意識というか、熱意でもって、フロアの方で積極的に盛り上がる人たちが増えてきてますね。本当にありがたい話です。

ドネルモ
お客さんは、やっぱり福岡の人がメインでしょうけど、他の県からも来る人もいるんですか? 長崎の人がスタッフにもいらっしゃるということですし。

魚住さん
北海道から来てる人も知ってますよ(笑)。

ドネルモ
福岡に?それはすごい(笑)。デルタポップのために来るんですか?

魚住さん
そうです。ありがたいことです。お客さんは、もちろん福岡がメインなんですけど、毎回たぶん東京とかからも十人程度来られてます。

ドネルモ
とすると、東京の方でもそういうイベントはあるだろうけど、やっぱり、それとは違う、ある種の盛り上がりがデルタポップにあるということですよね。

魚住さん
それについては、自分はあまり詳しくないので何とも言えないんですけど、地域の特色みたいなものがあるらしいんですよ、いろいろ話に聞くところによると。それで、デルタポップのスタイルが、その人には適してるんじゃないかな。分からないんですけどね、理由とかは。でもまあ、楽しんできてくれてる人がいるのは、ありがたいですね。

ドネルモ
それはすごいでしょう。デルタポップのためにわざわざ来るっていうのは。相当なことですよ!

魚住さん
東京とかからツアーで福岡にやってきたバンドとかで、終わった後の打ち上げとか帰りがけに、デルタポップに寄ってくれる人も結構いたりしてですね。こないだも、○○○【某有名バンド】とか、来てくれてましたし。

ドネルモ
えー!!それはすごい(笑)。音楽業界では、知る人ぞ知る、福岡のイベントになりつつあるって感じじゃないですか。

魚住さん
自分としては実感が全然ないんですけどね(笑)

ドネルモ
今度は久留米でもやりますよね(10/10@Quaia space TONE:久留米)。どういう経緯で久留米になったんですか?

魚住さん
やっぱり、筑後地区で初めて開催するにあたって、そこから天神まで出てくるのはきついな、という人たちに気楽に楽しんでもらいたい、という気持ちですね。今回、久留米で始めるのは、天神以外のいろいろな地域、なかなか福岡・天神に来られないところで、デルタポップやってみようという計画の第一歩みたいなとこ ろですね。

どういう風にお客さんが集まって、成功するのかどうか。成功したら、これをモデルにして、いろいろなところ、例えば北九州・小倉とか、福岡まで来にくいな、という人に楽しんでもらえたらな、と。佐賀とか、大分とかもそうですね。

 

広がってゆく〈オタク〉層と人々をつなぐ〈音楽〉

ドネルモ
さっきもおっしゃってましたけど、ニコニコ動画みたいなものが、シーンの広がりにはとても大きい影響を与えてるでしょうね。20歳くらいの子と話してると、僕(山内:アラサー)の頃には一部の人たちしか聴いてなかったようなアニメの音楽でも、普通に子供の頃から見てて知ってたりする。それこそ、いわゆるかつてのアキバ系、チェックのシャツを着てリュックやナップザックを背負ったような人じゃなくても、ごく普通に聴いてるという層があって。

魚住さん
それはあります。ライト層が拡大していて、特にニコニコ動画以降は急速に広がったと思います。

ドネルモ
だから、〈オタク〉って言葉ではひとくくりにできない状況が、既にありますよね。オタクって言葉でイメージされる人物像って、年代別でけっこう違うんじゃないかと。若い子はもっとライトに、本当に屈託なく接しているようですし、昔からのオタクには、コンプレックスと愛情のせめぎ合いっていうか、本当に好きで、ずっと聞いてきたっていうとこもあるでしょう。

魚住さん
自分の立場としては、歴史的にみるとか、オタク学とか、そういうのはあんまりするべきじゃないと思うんですけど、やっぱり誰にもかまわれたくないというか、自分だけの趣味というか、そういう点でデルタポップに対して否定的という層はあると思います。この業界は、自分たちだけのものだから、っていう。

でもデルタポップとしては、そういう人たちにも通用するだけのクオリティを作っていきたい、という気持ちもありますね。来てくれた人全員が何かしら楽しんでくれないと、だめだからですね。

だから例えば、みんなで振りを合わせて踊るような、例えば『ハレ晴レユカイ』(*2)みたいなものもあるんですけど、こっそりマニアックな曲を入れて、それを知ってる人がフロアの片隅でニヤッとしてくれるのが楽しみだっていうDJもいます。

ドネルモ
セットリスト拝見したら、「えくすたしぃ」じゃないときでも、ジブリール2のオープニング曲(*3)とか、かけてらっしゃいませんでした?(→ソースが見当たらず、山内の勘違いだったようです。お詫びするとともに、訂正いたします。)

魚住さん
あ、そうでしたっけ? まあ、やっぱり、DJというのは(パーティもですけど)、回を重ねていくごとにマンネリ化していくというか、飽きられていくところがあるんですよ。だから毎回毎回、何かしら新しい、今までとは違った特色を出していかないと。

例えば、「来月デルタポップあるけど、どうせこの前と同じだろうから、次は行かなくて、その次に行けばいいんじゃないの」ってお客さんに思われたらまずいからですね。だから毎回、何か違うものを用意するようにしてますね。

ドネルモ
そんな中で、でもやっぱり、キラーチューンというか、アンセムというか、フロアが一気に盛り上がるデルタポップの定番曲はあるんですか?1回目から、ずっとかけてるような。

魚住さん
そうですね。アンセム的・キラーチューン的な曲というのは、配分的にはこれくらい必要だというのは、あらかじめ考えておいて、定番曲はその場で適当に入れてますね。それで定番曲、それこそ『ハレ晴レユカイ』とかも使いつつ。

アニメは1回のタームが3か月周期で、それぞれに人気の曲があるからですね。例えば最近だと『けいおん』(*4)とか。そういうのを使いながら、でもそればっかりだとアレなので。ただ新しいアニメの曲は、いまいち受けが悪いんですよ。

ドネルモ
あ、そうなんですか。

魚住さん
それがなんでなのか、いまだに分からないんですけど。福岡で放送されてないからなのかな。そのときやってるアニメ、例えば『みなみけ おかわり』(*5)をやってるとき、その曲を使ったら、お客さんの反応が悪かったんですよ。でも、いま使ったら受けがいいんですよ。だから、その辺をよく考えながらですね。

ドネルモ
へー。いまやってるからって、必ずしも受けるわけじゃないんですね。

魚住さん
まあ、『けいおん』とか『マクロスF(フロンティア)』(*6)ぐらいまで突き抜けたら、誰でも知ってるんですけど。オリコンの上位をアニソンが占めたりしてますけど、そうはいってもそこまで売れたりしてないですからね。

やっぱりアニソンというのは、タイアップと違って、アニメを表すものだったりするんですよ。だから、聴いたらそのアニメの情景とかが浮かんでくるというのが、アニソンなんですよ。そうして、アニメのヒットがアニソンのヒットにつながってくる。直結してるとまでは言わないけど、そういうところは大きいですね。

だから大ヒットしたような曲は盛り上がるけど、スマッシュヒット以下ぐらいの曲だったら、分かってる人は盛り上がるけど、そこまでアニソンを深く聴いてる人じゃなかったら、ちょっと難しい、というのはありますね。

ドネルモ
ゲーム音楽とかもかけますよね。ニコニコの曲も。ニコニコの受けはどうなんですか?

魚住さん
いいですね。ニコニコ動画は、特にボーカロイド(*7)とか、あの辺は受けがいいですね。あとは東方(*8)とか。そういうのの人気は根強いですね。それにボーカロイドは、次から次に新曲が出てますから。

ドネルモ
僕(山内)もニコニコが好きで、結構見てるんですけど、でも一方えは、いったい世の中の誰が見てるんだろう、って思ってもいたんです。ものすごく登録者数はいるし、再生数もすごいことになってるし。

魚住さん
そうですね。一般的にイメージされる〈オタク〉だけじゃなくて、一般的な人たちも。

ドネルモ
みたいですね。ニコニコを見てると、『マクロスF』は見てないけど、「ランカ・リー」は知ってる、という風な感じなんでしょうね。

魚住さん
最近だと『けいおん !』とか。アニメとか全然見てない人たちでも、『けいおん!』という存在は知ってるとか、曲は知ってるとか。

ドネルモ
ニコニコ文化圏というか、ニコニコが生み出した層ということなんでしょうね。

魚住さん
特にニコニコ動画は、それだけの影響力というか、見てる人が多いからですね。その中で生まれてきたボーカロイドとか、多くの人に親しみのあるものになってますね。

 

〈福岡〉でデルタポップみたいなことをやってみる

ドネルモ
魚住さんのお話うかがってて、今日は感銘を受けっぱなしなんですが(笑)、やっぱり、デルタポップを通じて、人と人をつなげていく、そうやって、〈地域〉を新たに立ち上げてらっしゃるという感じがします。

ちょっと前まで、「今の日本には流行歌がない」とか「21世紀に残す歌がなくなっちゃった」とか、「みんなが知ってる歌がなくなった」とか、よく言われてましたよね。しかも、それが曲のせいにされて、曲のクオリティがみんなに訴えるものじゃなくなったからだ、とか言われる。

でも、実のところ、そこには社会的背景とかがすごく大きく関わっていて、例えば家族でそろってテレビを見なくなったとか、歌番がなくなったのも、そういう背景があるわけですよね。

そんな中で育ってきた僕らの世代では、みんなが知ってる音楽となると、ゲーム音楽だったり、アニメ音楽だったりする。もちろん、みんな、個別にテレビやゲームやって、知ってるものです。だから、アニソンやゲーム音楽って、個人レベルでは知ってるけれども、でも、それをきっかけに〈つながる場所〉っていうのは、これまでにもなかったんですよね。

魚住さん達のされてることって、そういう僕らの世代の〈音楽〉をきっかけに、人々をつなげていく場を作ってくってことではないか、とお話うかがってて感じました。で、実際やってみたら、vol.1からあれだけ人が集まってきたっていう。

魚住さん
つながるためのツールとしての側面は、やっぱりすごくありますね、アニソンやゲーム音楽は。ニコニコもそこでしょうね。あと、場作りとつながりっていうことでは、カラオケも大きいでしょうね。

そこの親富考通りに「アシベ」っていうカラオケ屋があるんですよ。そこがある意味、オタクの聖地みたいになってて(笑)。毎週末、アニソンの会が開かれるようになってて、その中で大きい規模のものに「アニカラ福岡」というのがあるんですよ。それは毎回、百何十人とか集めていて。

ドネルモ
それはカラオケをやってるんですか?一応、それぞれ個別の部屋に分かれるんですか?

魚住さん
個別らしいですね。ここは例えば、「萌え」の部屋とか(笑)。

ドネルモ
へー(笑)、そんな風に分かれて、で、そんなに集まってるんですか!そりゃすごい。

魚住さん
カラオケ産業は、アニソンがないと成り立たないと思いますね。

ドネルモ
そうなんだ。誰が歌いに行ってるのか、と思ってました。アニソンを歌いに行ってるんだ。ジャンル別で部屋が分かれるというのが面白いですね。

魚住さん
そうですね。萌え部屋とか熱血部屋とか、いろいろと分かれてるみたいです。そういう計画とか想像力とか、やっぱりオタクというのはすごいですよ。

ドネルモ
デルタポップの組織力というか、魚住さんをはじめとして、何かイベントやるぞっていうときに、人々をつなげて組織していくところ、そこに一番感銘を受けます。自発的なんですよね、そこに集うのが。トップダウンの、上からの押し付けでもないし、中央からスターがやって来てそこにみんなが集うっていうモデルでもないし。自分たちが自分たちで、その場を起こしていってるボトムアップなんですね。

だから、〈福岡にこういうものがあるから〉とかいった〈もともとの地域性〉に根ざしたものでもないんでしょう。むしろ、魚住さんとかデルタポップの方々とか、アニソンのイベントやろうって人たちが、たまたま〈福岡〉にいて、それでやってるっていう。で、そのイベントに、人々が集まってきてっていう。

それって、本当にボトムアップって感じですよね。自発的に参加して、そこで、その都度、〈福岡〉っていう地域がドンッと立ち上がるっていうか。


魚住さん
そうですね。そういうところで動いてる感じが、ここ数年は特にありますね。

ドネルモ
ただその勢いや雰囲気が、なかなか業界の外側に伝わってないとこも、あるんじゃないでしょうか。魚住さんみたいに、この界隈のことを知ってる人たちには「すごいことになってるぞ!」というのが分かるんだけど。新聞とか雑誌とか、どうですか、取り上げたりしてますか?

魚住さん
いや、やっぱりネットの媒体とかに、名前を出してもらったり。それぐらいですね。

ドネルモ
そうなんですよね。それこそ、めちゃくちゃ言われたっていうクラブの人みたいに、ある程度、アニソンとかに対する偏見みたいなのが、いまだに根強くあるのかもしれないですね。でも、確実にこれだけの人が動いてるし、クラブにそれだけの人が集まっているという事実は、やっぱり強いと思います。

魚住さん
それはその通りですね。それで今、例えば福岡のアニソンシーンが盛り上がっているとか言われるんですけど、自分はそういう状況ではないと思ってるんですよ。それというのは、自分たちで作ってて楽しんでいるのは決して〈シーン〉じゃないからです。

周りの、部外者の人たちが認めて、初めて〈シーン〉というのが成り立つ。そういう考えがあってですね。でもまだ、デルタポップと福岡は、そういうところまでは認められていない。まだ今は同好の砂遊び場みたいなのができてるだけで、せっかくこんなに盛り上がる土壌があるんだったら、やっぱり〈シーン〉みたいなのができたら、またもっと面白いことが起こるんじゃないか、と思って。

あと、秋葉原とか日本橋がそうですけど、相対的にパイが大きい。でも福岡でやるとしたら、パイが小さい。例えばアニソンのシンガーとかバンドが、ツアーをされるじゃないですか。そうするとだいたい東名阪でやって、福岡は飛ばされるんですよね。なんでかというと、福岡では動員が見込めない、と。動員が見込めないうえ、経費は上がる。メンバーとかツアーに関わってる人の移動費・交通費とか宿泊費とか、機材の搬入とか含めて。それでいてお客さんが集まらないんだから、福岡では全然見込みのない話だってことになっちゃうわけです。

でもこのシーンが盛り上がって、お客さんが集まる、楽しめる、そういうシーンができたら、それは必ず東京にも伝わるんですよ。そしたら、そういう人たちも来やすくなりますよね。その分、楽しみの選択肢が広がる。そういう点でやっぱり福岡のシーンが盛り上がってほしい、という気持ちはありますね。

ドネルモ
つまり、一定のニーズが福岡にあるということ、福岡でも興行として成り立つぞ、ということを東京とかに伝えていこう、と。〈興行として成り立つニーズが実際に福岡にあるんだ!〉という意味で、〈シーン〉ってことですよね。となると逆に、アニソンバンドにせよ何にせよ、なかなか福岡には来ないってことですよね、今だったら。

魚住さん
だってもう、そこそこ有名な人でも100人、150人くらいですよ。それぐらいしかこなかったら、その分のかかったコストは入場料に上乗せされるから、また高くなって来なくなるっていう悪循環ですよ。

だからそういう悪循環を打破する試みの一環として、デルタポップはメジャーアーティストの福岡で見れないような人をゲストに呼びます。今年の年末にもyozuca*(*)さんを呼ぶんですけど、そういう感じで、福岡ではなかなか見る機会がないから、そういう人たちのライブとかが見られるものとして、デルタポップをやっていければな、と思っています。

ただ今まで、数えきれないくらいの事務所とかアーティストにオファーをかけたんですけど、やっぱりほとんど断られますね。福岡は、やっぱり動員というところで否定されます。

ドネルモ
そうなんですか。たしかに、ボトムアップで〈シーン〉が自ずと生み出されていく中で、それが、中央からゲストを呼び寄せるくらいの盛り上がりになっていくのが、理想的ですよね。

魚住さん
本当に福岡って、東京からしたら、そんなに気にかからない。関西と比べられると、なおさら辺境の地みたいなところですからね。だからこそ、でっかいのをやれたら、ね(笑)。そういう福岡県民としての誇りというか、九州の誇りみたいな、反骨心みたいなのが生まれますよね(笑)。絶対負けたくない!っていう(笑)。

(part3に続きます。お楽しみに)

 

 


 

デルタポップ(DELTA POP)

デルタポップとは、福岡で行われているアニソン・ゲーソン・特撮ソング・ニコニコソング等の楽曲オンリーのクラブイベントである。

2007 年5月4日、福岡市親不孝通りのクラブ「ZOOM」にて第1回が開催。以後、現在までに9回+1回(番外編として、エロゲ曲のみの「デルタポップえくすた しぃ」が開催されたことがある)開催されている。ほぼ毎回200人~300人を動員し、福岡のクラブシーン全体の中でもその盛り上がりは幅広く認知されて いる。

クラブの爆音でアニソンを楽しむという、オタクにとってはある種非日常的な要素を多く含むイベントだが、毎回フロアの盛り上がりは凄 まじく、キラーチューンが流れたときには会場中のテンションが恐ろしいほど上昇する。それでいて、アニメやゲームを楽しむ仲間としての暖かさも感じられる のがこのイベントの魅力であるといえるだろう。

フロアで思いっきり踊るのも良し、静かに爆音に身を委ねるのも良し、友達とオタ話に華を咲か せるのも良し、まったりくつろぎながら楽しむのも良し。それまでにクラブイベントやパーティーに参加したことのない人もあっという間に虜にしてしまう、不 思議なイベントである。またコスプレイヤーの参加も多く、その時々で人気のあるキャラクターの衣装に身を包んだコスプレイヤーも思い思いにアニソンを楽し んでいる。

会場が現在メインで使用されているKieth Flackに固定されてからは2Fがメインフロア、1Fではまったり系のアニソンでくつろぐスペースとして分けられている。DJ陣も1Fと2Fでは趣の異なったプレイをするため、どちらのテンションも好きだという人は多い。

2009年12月19日には、スペシャルゲストとして「D.C. ~ダ・カーポ~」や数々のアニメ・ゲーム等の楽曲、「プリンセスラバー!」ED等でお馴染みのyozuca*を迎えた大規模なデルタポップ・スペシャルが予定されている。

(以上、ニコニコ大百科(ニコニコ動画内のタグに付けられるウィキみたいなもの)のデルタポップの項から、転載させていただきました。)


魚住太郎

デルタポップオーガナイザー。DJ歴多分10年くらい。ロックパーティー「SPANK!」でDJデヴュー。その後「LOVE45」を立ち上げ、長期に渡り活動を続けていたが、種々の事情によりDJ活動を休止。 2年のブランクの後、デルタポップを立ち上げ現在に至る。

デルタポップの理念
「一人ひとりのお客さんが主役のパーティー」

皆さんに一言
「でっかい音で聴くと新たな発見があるよ」

KEYWORD
ニコ厨・鍵っ子・釘宮病(L型)

嫁リスト(最新版)
遠坂凛・マリア・柊かがみ・ニア・キョン子 

(以上、デルタポップの公式サイトから転載させていただきました。ちなみに、魚住太郎というインパクトのあるお名前は、芸名ではなく本名なのだそうです。)


きしめん(*1)

『Nursery Rhyme-ナーサリィ☆ライム』という美少女ゲーム(エロゲー)のOP曲「true my heart」の通称。サビの部分の「素直な気持ちだきしめ」という箇所の最後が、「きしめーん」に聞えるということで、ニコニコ動画の初期に空耳で大人気に。「きしめん」をめぐる歴史と諸々のエピソードについては、ニコニコ大百科に異様に詳しい。


ハレ晴レユカイ(*2)

アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』(第1期)のED曲。エンディングのダンスが話題にもなり、踊ってみた人々が続出。


ジブリール2のオープニング曲(*3)

『魔界天使ジブリール-episode2-』というエロゲー(絵はかわいいのに触手系)のOP曲「Little my star」。サビの前のパートがなぜか猛烈に美しい名曲。


けいおん!(*4)

高校の軽音部を舞台にしたマンガ(作者はかきふらい)で、『ハルヒ』や『らき☆すた』の京都アニメーションが、今年アニメ化。ロマンティックなバンド観をバッサリ切り捨て、ひたすらコミュニケーション・ツールとしてバンドを捉える現代思想の最前線。OP曲「Cagayake!GIRLS」、ED曲「Don't say "lazy"」、ともに大人気。


みなみけ おかわり(*5)

『みなみけ』は桜庭コハルのマンガ。2007年にアニメ化。その第二弾が、『みなみけ おかわり』。さらに、この後に第三弾の『みなみけ おかえり』が放送された。そ


マクロスF(フロンティア) (*6)

音楽が世界や宇宙をどうこうしてしまうマクロスシリーズの最新作。2008年。音楽は菅野よう子。OP曲の「トライアングラー」と「ライオン」、ランカ・リーの歌う「星間飛行」(キラッ☆)などが大人気。


ボーカロイド(*7)

ボーカロイド(VOCALOID)は、デスクトップミュージック(DTM)製作を目的としたボーカルシンセサイザー、及びその応用製品の総称。作ったのはヤマハ。音声と歌詞を入力するだけで、人間の声を元にした音声を合成することが可能。

初音ミクを筆頭に、鏡音リン・レン、巡音ルカなどが有名だけど、実は、もっといろいろ、たくさんある。ニコニコ動画では、オリジナル曲や既存の曲を、ボーカロイドに歌わせてみた動画が、日々大量に投稿されている。


東方(*8)

「東方」という場合、それはまず、東方Project(とうほうプロジェクト)のこと。ZUN(通称神主)が運営する同人サークル「上海アリス幻樂団」制作の弾幕シューティングゲームを中心とする作品群の総称。

元のゲームもさることながら、東方関係の楽曲の(更に別の同人による)アレンジが、ニコニコでは有名。MAD動画や「踊ってみた」などで大人気。 


yozuka * (*9)

熊本出身のシンガーソングライター。2002年、[ダ・カーポ]主題歌でメジャーデビュー。 その後初のTVアニメ主題歌となる『サクラサクミライコイユメ』をリリース。 続くセカンドシーズン『サクライロノキセツ』はオリコンチャートデイリーTOP10入りを果たす。 2009年5月にはyozuca* 10th Anniversary Best『enjoy』と『piece』を2枚同時発表。 8月には17thシングルとなる『S.S.D!』(テレビアニメ『プリンセスラバー!』エンディングテーマ)をリリース。他アーティストへの楽曲提供、ラジオパーソナリティーやコラム執筆などでも活動中。

デルタポップのmixiコミュの紹介文より転載させていただきました。)


次のデルタポップ DELTAPOP vol.10

 

delta10a.jpg

2009/12/19(sat) 

@薬院ビートステーション 

OPEN19:30 START20:00 

¥2,500(+1drink) 

DJ

魚住太郎/soup a.k.a 801/michelle+Ω/TAMTAM108式/zawa/コータ/LEEDAR/tomoki 

 

Guest DJ 

サオリリス/MIYA2 

 

VJ 

soup a.k.a 801/TAMTAM108式/4rave(Tenjin Groove) 

 

special LIVE 

yozuca* (special guest)

 

LIVE 

哀戦士~Romantic Tonight~/脳内妹症候群/elf/イリジウム/バンドレンジャー 

 

デルタポップのmixiコミュの紹介文より転載させていただきました。)

 


09/11/05 18:35 | コメント(0) | トラックバック(0) このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーのはてなブックマーク数 Buzzurlへ追加このエントリーのBuzzurlブックマーク数 livedoorクリップへ追加このエントリーのlivedoorクリップ数 Yahoo!ブックマークへ追加人が登録 POOKMARK Airlinesへ追加 Saafへ追加 ニフティクリップへ追加 add to del.icio.us add to Digg add to Reddit

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