« 美術作家・岡田一郎インタ... | 泣きながら踊る― AMA... »

小山冴子(とんつーレコード主宰/tetraスタッフ)インタビュー (1)


art space tetraのスタッフや、数多くのアートイベントのボランティアスタッフとして、アートと関わりを持ち続けてきた小山冴子さん。tetraでの仕事や、小山さんが最近立ち上げたばかりのレーベル「とんつーレコード」(梅田哲也の新譜や遠藤水城によるインタビュー集を発売中)について、いろいろお話を聞いてみました。

日時 : 2009/11/09 午後

 

oyama.jpg冷泉荘にあるRILL BAGELにて、おいしいベーグルとコーヒーをいただきながら、小山さんが現在にいたるまでの話からはじまりました。

 

福岡の宇美町で生まれ育った小山冴子さん。中学、高校と美術部を続けてきたこともあり、美大に行きたいという思いがありつつも、実家が4人兄妹(しかも小山冴子さんは双子)のため自粛。地元大学の人文学部へ…

小山
まあ、無難なところで福岡大学に行く事になり。人文学部文化学科という、結構適当な学科に。ほんと、文化学科って便利ですよね。いってみれば何でも文化じゃん?みたいな。もう、本当にいろんな科目があって。だからそこで博物館学とか、美術史とかとって、文化人類学とかとって。

ドネルモ
そのころはまだ、絵を描いたりとかしていたんですか?

小山
一瞬だけ美術部だったんだけど、すぐやめて軽音にはいりました。

ドネルモ
楽器は何を?

小山
キーボード。と、ベースをちょこっと。

ドネルモ
そこから音楽好きの道をひた走るわけですね。

現代アートに関わるまで

ドネルモ
遠藤水城さんやテトラ(art space tetra)に知り会ったのはそのころですか?

小山
いや、大学出てからです。そのころはテトラの存在すら知らなかった。

ドネルモ
そのころは福岡の現代アートシーンというかそういうものに興味はなかったんですか?

小山
美術館とかは高校の頃から一人で学校帰りとか、大きい展覧会があったら見にいったりはしてたんですけど、2003年の年明けくらいに福岡市美術館で『福北美術往来』っていう展覧会があって、それが結構面白いらしいよみたいなのを美術部の友達にきいて見に行ったんです。

「現代アートらしいよ」みたいなのを聞いてて。そのときは「現代アート」といわれるものなんてほんとに何も見ていなかったんですけど。それこそゴッホ来るから行く、ユトリロくるから行く、みたいな感じで。

で、見にいって。でなんか、「なんだこれは!」って思ったことがあったんです。否定的な意味で。その『福北美術往来』っていうのは、当時北九州市美にいた花田伸一さんと、今も福岡市美術館にいる山口洋三さんによる共同企画で、現代アートというか、とにかく福岡で活動している作家を集めた展覧会で、美術館同士を結ぶように北九州市美と福岡市美をバスでつないでやってたんです。北九州にはいかなかったけど。

ドネルモ
「否定的な意味で」とはどういうことですか?

小山
うーん、なんか 美術ってもうちょっとさあ、みたいな気持ちがあったんでしょうね。「なんでもありなのか!?」とか思って。そこから卒論に繋がりました。

ドネルモ
卒論は何を書いたんですか?

小山
卒論は、もう、今考えると本当、恥ずかしいんですけど『現代美術とは何か』みたいなザックリとしたテーマで、哲学の先生の所で書いたんですけど。「君の問題設定は大きすぎて問題になってないんだよ!」とか罵倒されながら、「ですよねー」とかいいながら、でもなんか、わりと無難にまとまって、そこそこの点数をもらって、卒業できました。

ドネルモ
じゃあ現代美術が今までの自分の美術観みたいなものとは違って、なんでもありじゃないか!というところに半ば否定的な気持ちをおぼえつつも、現代美術のことが気になっていったわけですね。

小山
そう。すごく気になってましたね。

大学4年の夏に博物館学芸員実習ってあったんですよ。それがたぶん、自分の中ではすごく大きくて。さっきも出て来た花田伸一さんという、今フリーでやってるキュレーターの方がいらっしゃるんですけど、その方が当時北九州市美で働いていて、実習の担当だったんです。

当時博物館学でお世話になってた先生が、実習先をきめるときに「あそこの実習はいい。君はやる気があるから行ったらどうだ」というので「はい、行きます!」といって。北九州まで、地元でもないのに毎日高速バスで通って。(教育実習と同じで、通常はみんな里帰りがてら地元の美術館か、家に近い美術館に行く)

北九州市美って現代美術のすごくいいコレクションを持っていて、当時は現代アートのことなんて知らないから作品見て首をひねったり、なるほど!と思ったり「なんだ??」って考えるだけなんですけど、それがすごくよかったですね。

そこで展覧会を一つ、実習生で企画しようというのがあったんです。実習って美術館に払う費用が1万か2万くらいあって、それを十何人分集めると20万くらいになるからそれを展覧会の予算にしてやろうって話だったんです。テーマから作家から自分たちで話しあって、お金がないからすごく説明して作家にも長い手紙をかいて協力をあおいで。役割をきめて。

私はディレクターという立場でした。それが結構おもしろくって。宣伝とかフライヤー置きにギャラリーを回ったり、テレビ局に広報の協力をお願いしにまわるとかもやって、その時にはじめてミュージアムシティプロジェクト(MCP)とかの存在を知ったんです。福岡にギャラリーがあることも初めて知ったし。

それが夏休みのことでした。そのあと後期に毛利嘉孝さんの授業を偶然とっていて。

毛利さんっていろいろやってるじゃないですか。で私も音楽が好きだったしそのころは地元のバンドとかよく見ていて。毛利さんてミュージックシティ天神の役員みたいなこととかもやってて、市の人を連れて来て授業でトークしてもらったりとか、音楽の話をいっぱいしていたんです。

「雑誌を出すには」とか、「京都におけるくるりの功績」とか。この人おもしろいなーと思って話すようになったんですけど、そのうちMCPとも繋がりがあるって分かって。MCPがアートリエって、リバレインの地下にあるギャラリーで学校形式の「天神芸術学校」って期間限定でやってたじゃないですか。あそこで講師してるよ、って聞いて行ったりとか。

ドネルモ
遠藤さんもそこで講師をしていましたよね。

小山
そうそう、遠藤さんに会ったのはその翌年ですね。翌年はスタッフとして手伝っていたんですよ。そのときに遠藤さんは講師で来られてて。あまり喋ったこともなかったんですけど、授業でテトラっていう場所の紹介と、ボランティア募集してますっていってて、「ああ、行って見ようかな」と。4年前かな。

ドネルモ
気になるのは、「現代美術って何だよ」という気持ちを抱きつつも、どうして小山さんが現代美術に関わっているのかということです。なぜなんでしょう。話を聞いていると「現代美術が大好きです」というわけでもない。

小山
うん。大好き・・ではないし、そんなに勉強もしてないからあんまり知らないっていうのもあるけど、「なんだろう」って思って。知りたいから関わっているというか。むしろ「アートだから」とか「これは現代美術なんです」って本気でサラっと言える人が信じられん。

うーん、そうだな。考えるのが好きなんですよ。考えさせられるのが。これはなんでこういうやりかたをしてるんだろう、これを見ることによって見ている人はどういう感覚を抱くんだろうとか、意味してるのかしてないのか、むしろ意味を探させるのか、とか。そうやって見ているうちに、でもやっぱり素晴らしいとただ思う作品ってあるし、あとから見えて来て「ああ面白いな」っていうものもあって。

だからずっと考え中な感じです。いまだに現代美術がどーのとは言えないけど、でも見続けたいなと思う。で、見るってことはたぶん自分について見るってことでもあるんですよ。動いて、人と話すってことも。今まで何もしてこなかったってだけかもしれないけど(笑)だから見ていくそのなかで自分が興味がある事とかもだんだん分かるようになってきてて。たぶん。

だから自分の展覧会しようとかいうふうにもなってきたんですよ。やっぱり作りたいんだとかも思ったし。それと、イベントをつくるのも同じ感覚だと思う。

ドネルモ
小山さんは、堀尾寛太さんや梅田哲也さんみたいな、音楽やサウンドアートのイベントを多く担当しているイメージがありますが、別に音楽のイベントに偏っているってわけではないですよね。イルコモンズのときは私も行かせてもらいましたが、そんな企画もやるし、自分が作ってる作品も音楽作品ではないし。

小山
偏ってはいないと思うんですけどね。でも興味のあるところをしたいというか、自分の好きな作家と一緒に何かしたいっていう気持ちはすごくあるんです。



art space tetra

展示会、音楽イベントほか様々なアートイベントを企画、運営しているアートスペース。スタッフ10人くらいでそれぞれ家賃を分担し、運営しているそう。

小山さんがここのスタッフになったのは2007年春とのこと。

http://www.as-tetra.info/

 


遠藤水城

キュレーター。1975年 札幌生まれ。2004年 九州大学博士後期課程満期退学。

art space tetra(2004/福岡)、Future Prospects Art Space(2005/マニラ)、遊戯室(2007/水戸)などのアートスペースの設立に携わる。2004-2005年、日本財団APIフェローとしてフィリピンおよびインドネシアに滞在。2005年若手キュレーターに贈られる国際賞「Lorenzo Bonaldi Art Prize」受賞。「Singapore Biennale 2006」ネットワーキング・キュレーター。2007年、Asian Cultural Councilフェローで米国に滞在。同年、ARCUS Projectディレクターに就任。2009年、「福岡アジア美術トリエンナーレ」協力キュレーター。「ヨコハマ国際映像祭2009」キュレーター。共訳書にジェイムズ・クリフォード『ルーツ - 20世紀後期の旅と翻訳』(月曜社)がある。

 


ミュージアム・シティ・プロジェクト

1990年から福岡市を拠点に街とアートに関わるプロジェクトを行っている非営利組織。

 


毛利嘉孝

東京在住の社会学者。専攻は社会学、文化研究、メディア論。

カルチュラル・スタディーズの日本における中心的な紹介者の一人として知られる。現在は、音楽や美術などの現代文化、さらにはメディア・社会運動を中心として、社会科学と人文科学を横断する幅広い分野において、研究・批評・実践活動を行っている。

wikipediaより

----- clear -----

oyama2.jpg

とんつーレコード立ち上げのきっかけ

ドネルモ
なぜとんつーレコードをおこそうと思ったんですか。

小山
流れといってしまえば、それまでなのですが。はじめは遠藤さんが自分で対談本を出すっていう話だった。でも作業は私にまかされていて。これ『アメリカまで』っていうタイトルの本なんです。

作家がアメリカに行く前に、アメリカについて話を聞こうって言うものなんですよ。そこからいろいろ見えてくるんです。で、遠藤さんはその後にアメリカにいって調査をして。私は遠藤さんがアメリカに行ってる間に作業を進めてたんです。けれど進まず・・。

そうこうしてるうちに1年ほどの時間が流れどうしよう・・となって。脚注もゆっくりだけど作ってたし、校正もしてたし。1年半くらいたって今さらとも思ったけど、でもやっぱり形にはしたいなって思って。自分で出したいんですって言ったんです。それが去年の春くらいかな。

やっぱり色々いわれたり駄目出しもらったりもしたんですけど、最終的には「じゃあやってみな」ってなって。原稿をあずけてもらいました。

原稿料とかあまりきまりって分からないけど、かなり譲歩してくれてると思います。そこからまた資金集めとかもろもろで一年半経ってしまったんですけど、でもやっぱりいいものだから残さないとっていう気持ちが強かったので、ようやくだけど形になったんだと思います。

 

『○(しろたま)』も、きっかけは同じようなもので。遠藤さんがサンフランシスコでプロジェクトしようよって梅田さんを連れていって、はじめそのプロジェクトの時に撮ったビデオとか音源を編集して出そうよっていう話だったんです。

私テトラでも映像とかとってたから「じゃあよろしく」ってまかせてもらったんですね。そのときは全然具体的な指示はなくて、私も編集とかあまりしたこともなかったんですけど。

あるとき、梅田さんの茨城の展覧会を手伝うことになって。それが夜だけの展覧会だったんですよ。そこに、渡辺寿岳くんというカメラマンが記録で入っていたから、「サンフランシスコの昼の映像と、茨城の夜の映像をまぜたら、コントラストもあるし面白い映画にならないかな」、って梅田さんから後日提案があったんです。

そこから、じゃあやろうという事になって、でサンフランシスコの記録とはまた全然違うものになるから、自分で進めて形にしたいと思って、自分のところから出そうと思ったんです。

遠藤さんには本当に、いろんなきっかけをもらってるし、後押しをしてもらってますね。感謝してもしきれない。怒らせたときもありましたけど。

記録に残す

小山
テトラの記録って、私が入ってからずっと取ってるんですよ。ビデオを。ライブとかね。自分が旅行とかいったらカメラ持ってっちゃうから撮れてないのももちろんあるんですけど、いい演奏がいっぱいあるから、撮ってて。でもそうやっているうちに、自分は記録を取るのが異常に好きだなあって思って。

やりながら自分が見えてくることってあるじゃないですか。記録をとるのとか、データを整理することが好きなんです。それと、自分がすごい!って思ったものは人にもみせたいと思うし、広げたい気持ちがすごくあるから、だからレーベルっていうのはすごく自分の興味に向いている気がします。

作家と一緒につくっていくっていう作業も面白いし。レーベルというものになったのは、本当に人や出来事のつながりのなかで、って感じがすごくするんだけど、でも、自分が動いてこちらの方にきた、っていう感じもすごくするんです。

そもそも梅田哲也さんってのは、2006年の12月に遠藤さんが大阪から連れてきて、テトラで個展をしたんですよ。「こいつは面白い」っていって。そのときに私も結構衝撃をうけまして。ああ、なんか、おもろい人がおる!って。

で、そのあと年明けてから横浜でイベントがあったんですけど、そこでも展示をしてもらったから、搬入から見ていて、なんかね、人間がすごく面白いんですよ、やっぱり。こんな面白い人がもっといるなら会いたいと思って、きちんと関わろうと思って私はその後テトラのメンバーになるんですけど。

それで、梅田さんの作品について考えてたときに、インスタレーション作家で、それって展覧会が終わってるとなくなってしまうし、音を使う人だから、ほんとに残らないんだなと思って。作品もその場にいかないと分かんないし、写真を見てもなんか違うし。

2年前の北九州国際ビエンナーレ07のときもスタッフとして参加していたからビデオをとってたんですけど、広い倉庫での梅田さんのパフォーマンスで、ビデオに音が入ってなかったんです。低温のボーンっていう低い音が。カメラのマイクの性能とかあるだろうけど、「はれー!」とか思ってびっくりしたことがあって。

いつも考えすぎて飛ぶんですけど、でも記録に残らないということは、飛躍するかもしれないけど美術史にも残らないんじゃないかと思ったことがあって。どうにかして別の形で残したい人だなと思っていたんです。でもライブをとっても展覧会の作品をとっても、あまり意味をなさない。

だからというか、このDVDの中身はドキュメンタリーとかライブの映像とかではなくて、いろんなのをまぜこぜにした映像作品になってます。


梅田 哲也

大阪在住。ライブイベントを拠点に現象としての音の動きや立体感に対するアプローチを続けながら、廃材や自作ツールを使用した作品を多数制作。場所や空間のキャラクターに焦点を当てたインスタレーション、インプロヴィゼーションのパフォーマンスを各地で展開している。

「Festival Beyond Innocence」(2002-2007/大阪)や「INSTAL」(2006/スコットランド)などの音楽フェスティバル、「Sound Art Lab」(2005/大阪)、「the listening project」(2006/ロンドン)、「waitool sounds」(2007/サンフランシスコ)、「Sound Effect Seoul」(2007/ソウル)、「Blurrr」(2007/テルアビブ)、「DENSITE」(2008/フランス)など展覧会やイベントに多数参加。2006年にはCD 『ocket』(improvised music from japan)もリリースしている。

ホームページ
http://www.siranami.com/

 


渡邉寿岳

映像作家。カメラマン。撮影助手。映画・CM・PV等の撮影助手として活動する傍ら映像作品制作や自主映画のカメラマンとしても活動。現在制作中の田中羊一監督の新作『C・J・シンプソンはきっとうまくやる』の撮影を担当。2010年春公開予定。

監督作品
『かつて明日が』39min/DV/2008

監督作品 : 『かつて明日が』39min/DV/2008

ブログ「窓」
http://d.hatena.ne.jp/windoow/ 



遠藤水城『アメリカまで』

キュレーター遠藤水城によるインタビュー集。

2007年1月に録られた5つのインタビューと、6月に返信された1本のメールインタビューを収録。

アメリカのアートや日本のアートについての会話の中で見えてくる、身にしみ込んできたアメリカの影響。日本のアートは何を足場として、そこからどこへ行くべきなのか。

約3年の歳月を越えたからこそ見えてくる、それぞれの芯やブレの無さ。美術評論家、美術史家、元学芸員、世界で活躍するキュレーター、成功を収めたアーティスト、自らも含め、知らぬ間にアメリカナイズされた人々。

とんつーレコードより発売中

 


梅田哲也『○(しろたま)』

ライブパフォーマンスやインスタレーションなど、様々な形態で作品発表を続ける作家、梅田哲也の新譜。

本人による音楽CD『サントラ』と、渡邉寿岳による映像作品DVD『時間のそこ』の2枚組セット。

とんつーレコードより発売中

 

----- clear -----

ドネルモ
まぜこぜというと?

小山
ライブ映像もあるし、サンフランシスコでは梅田さんが自分でとってた町の風景とかあるし。それからこれ、ジャケット開いていくとスタッフロールが展開するようになってるんですよ。ぱたぱたしていくと出演者がでてきて、映像提供者もあるでしょう。色んな人が撮影した映像を集めてきてあるんです。基本となってるのはやっぱりサンフランシスコと、去年3月に茨城であった展覧会です。映像作品として面白いものがいいねって、いうところから始まってます。

ドネルモ
なるほど。へー。すごいジャケですね、これ。いやすごい気になるのは、どういう風に、お金を工面したんですか

小山
お金はもう、自腹ですよ。もちろん。

ドネルモ
えーーーそうなんだ

小山
自腹というか、信頼できる人から借りた分も結構あるけど。これから返していくんです。返済の期日もちゃんと決めてあるし。

ドネルモ
へー、だよね。ここまでのものにするんなら、相当な作業だなと思って。

小山
でもなんかふつうのDVDケースとかは嫌だなと思って。やっぱ紙がいいなと。それに、音源と映像だけなら今だったらダウンロードでいいじゃないですか。データで。だからこう、ものとして持つならね、こだわりたいなと。

ドネルモ
いやあ、これは立派なものになってますよ。うん。とてもいい。とてもいい!と思います。

小山
ありがとうございます。遠藤さんの本にしても同じことですよね。一年半とかたったけど、読み返すとやっぱりすごくいいインタビューというか。だからこれもやっぱり形にしたいなと思って。

「とんつー」って何?

ドネルモ
ところで「とんつー」って何?

小山
とんつーは・・・モールス信号・・・。

ドネルモ
モールス信号。

小山
トン(・)とツー(-)・・・です。

ドネルモ
どんな意味?

小山
いや、ただ音がかわいいなと思って。でもアルファベットでいうと、Aで、ひらがなでいうと、イロハニホヘトのイなんですよ。だから「ええレコードだなー」「イイなー」みたいな・・ていうのは後づけですけど(笑)

ドネルモ
友人が「とんこつレコード」って言ってました。

小山
ああ、自分で書いてても時々間違う(笑)

あと、うちの父がやるんですよ、無線を。「じゃあ とんつーしようかな」って机に向かう。それもあって。なんか言いやすいなーと思って。でも信号だから、仕組みさえしっていれば外国の人であっても日本人であっても喋れるっていうのと、あと、あまり詳しいことは分からないんだけど、受信の感度か信号の強さをかえるかすると、地球の裏側でもうけとれる。

ドネルモ
なるほど。じゃあ発信するってことだ。とんつーって。なんかいいね。素敵だね、それは。

小山
そう、素敵でしょう。あんまり意味をつけたくなかったんですよね。名前で浮かぶイメージとか色とか。英語とか、意味をもった言葉にしたくなくって。だからとんつーも、音だしいいかなと思ってつけました。

それから○○出版にすると本だけになっちゃうから、「レコード」と。

ドネルモ
なるほどなるほど、記録(レコード)ってことかー。いいなー。名前がとてもいい。データでダウンロードすればいいではないか、っていうふうなもののなかで、ちゃんと形にしてね、物にするっていう。で物にして、それこそ地球の裏側までも発信していくんだっていう、その姿勢に私はいたく共感いたします。

それに、さっき小山さんの言った、「美術史からとりこぼれる」っていうのは決して大きすぎる話ではないと思っていて。やっぱり誰かがこうして形にして物にして残しておかないと、特にこういう言説とか、特にその、音となって消えるものっていうのはほんとにこう、無くなっちゃうんで。そしてほんとに無かったことになるから。やっぱり文章化するとかメディア化するという作業は必要ですよね。

しかし小山さんの自腹ですか!(笑)

小山
自腹ですよ。まあ、みんな始めはそうでしょう。で、バイトしながらだしテトラもあるし、だからこれから先とんつーからはぽつぽつとしか出ません。たぶん。

ドネルモ
テトラでやるっていう話にはならなかったんですか?

小山
ならなかったですね。というかそんなことは考えてもみなかったな。自分でやりたいっていうか。なんか・・、やっぱこういうのを出すことが自分の記録でもあるんですよ。たぶん。

ドネルモ
でもこういう話を聞いていると、小山さんのプライベートな作品だよね。なんだかね。レコードとして、記録を作品化するというか。

今後のとんつー

ドネルモ
今後とんつーは、テトラなりなんなりで繋がった人とかに打診して、なんかやりませんかっていうかんじで出していくんですか。

小山
うん。今後そうしていきたいですね。この最初の二つは本当に、遠藤さんにも梅田さんにもかなり協力してもらったというか、かなり譲歩して作品や原稿をあずけてもらったと思っていて、有り難すぎるくらいです。ちゃんと広げていかないとな。遠藤さんには原稿料の支払いもまだだし・・(笑)

----- clear -----

part2に続きます

インタビュアー : 前原一満、山内泰
撮影 : 清水聡子


10/01/01 10:55 | コメント(0) | トラックバック(0) このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーのはてなブックマーク数 Buzzurlへ追加このエントリーのBuzzurlブックマーク数 livedoorクリップへ追加このエントリーのlivedoorクリップ数 Yahoo!ブックマークへ追加人が登録 POOKMARK Airlinesへ追加 Saafへ追加 ニフティクリップへ追加 add to del.icio.us add to Digg add to Reddit

« 美術作家・岡田一郎インタ... | 泣きながら踊る― AMA... »

関連記事

| 音楽クリエイター・クサノユウキ インタビュー Part3(連続3回) | 音楽クリエイター・クサノユウキ インタビュー Part2(連続3回) | 冷泉荘ピクニック『akioworks アートなんでも相談室』 | 音楽クリエイター・クサノユウキ インタビュー Part1(連続3回) | ぺったんこにみる vol.3 九州大学伊都キャンパス | 魚住太郎(デルタポップ主宰)インタビューpart3 |


トラックバック(0)

トラックバックURL: http://donnerlemot.com/mt/mt-tb.cgi/510

コメントする