« 別冊ドネルモ vol.3... | 別冊ドネルモvol.4『... »

2010年代の恋愛予想地図 Part3


loveplus_01_cs1w1_300x.jpg大好評の「2010年代の恋愛予想図」、今回のpart3が最後となります!後半になるにつれて、どんどんとテンションが低くなっていく一同。こんなことで2010年代の恋愛サバイバルを生き残っていけるのでしょうか…それでは、【2010年代の恋愛予想地図】最終回、どうぞご覧下さい。

もし彼氏が「おっぱいパブに行ってくる」と言ったら

ヅラ夫
やはり最低限のマナーは必要ですよね。自分の経験則上、デートDVの根源にあるものは性的な所有欲だと思うんです。つまり、性的な関係が排他的なことが問題。だからこそ、そうした性的関係のあり方を解消するようなモデルがあってもいいんじゃないかなと思って、これまで言ってたわけです。

ルン
僕もそう思うな。性的な欲望を二次元で解消することは、デートDVの問題を考える場合にすごくよいアイデアだと思います。

西友のイブ
ただ、結局、そうしたいう言い方は、“俺の欲望を認めろ”という都合のよい言説に回収されてしまうわけですよ。

ルン
まあ、そういった言い方を許せない女性がいるのも確かだよ。

tangerine
それが許せなくて、さっき「電波男」と「負け犬」の間で抗争しているって話でしたよね(笑)それ以外のあり方はないのかなぁ。

西友のイブ
魔女さんはどう思われますか?

魔女
さっきから喋りたくてうずうずしてたんだけど・・・!

一同
おおお!ぜひ言って!

魔女
うわ、ハードルが高くなった!(笑)・・・私の彼氏、多分電波男なんじゃないかな~。しかもそれを公言してくるし。といのも、オナニーとセックスは別物だっていつも私に言ってくるからです。それで教育されたたちなんです、私。(笑)仮に私と私以外の関係の割合が0-10だったら、さすがに私も悲しくなってくるけど…ドラマやマンガにあるような、旦那さんがキャバクラに行ってくるのを怒るみたいな感情は私にはないと思います。

こんなことを言ってると可哀想な子みたいですよね… この間も私と彼氏とその友達とで飲んでた時、彼氏から「ちょっと今からおっぱいパブに言ってくるから」とか言われて。そこにいた友達は「彼女の目の前で!」みたいになってですね。で、私は複雑な気持ちで「いってらっしゃい・・・」って言っちゃう。そんなんでも、私、0-10じゃなければ全然平気かも!?

ヅラ夫
今の魔女ちゃんが「可哀想な子と思われるかもしれないけど」って言わなきゃいけないように、傍から見てる人にとって、彼氏さんは、「それはないだろう!」って言ってしまうような存在に映ってしまうわけだよね。

恋愛も二次元の中で

アンソニー
え〜と。今ここで問題なのは電波男が、性的欲求を二次元に求めているだけじゃなくて、恋愛というコミュニケーションをも二次元に求めているということですよね。みんなそこを分かって喋っているのかなって僕は疑問なんですが。というのは電波男系の人たちが現れる以前にも男はAVを見ていたし風俗にも行ってたわけですから。

だから、「私以外の人ともそんな性的関係を結ぶなんて」っていうのは、全然2010年代の話じゃないと思うわけです。つまり、問題はコミュニケーション自体を二次元に求めるようになったということ。

ヅラ夫
そうだね。小谷野敦さんが『もてない男』という本で言っているように、人間の三大欲求は睡眠欲と食欲、そしてコミュニケーション欲なんだよ。そう性欲じゃない。まさに、二次元がコミュニケーション&性欲の対象になっているというところが問題なわけです。多くの人が現実生活においては異性と一緒に共同生活もするわけですから。でも、そこに「ほんとうの自分はこうなんだ」っていう実存を託すようなコミュニケーションがそっちに向かないって話なんだよね。僕はそこのところに性的なものが深く絡みついていると思うのだけど。

さっきの僕の言い方に語弊があったとすると、「俺の嫁」は単なる性的対象としてではなくてコミュニケーションを含みこんだ形で成り立っているのではないかと。じゃないと性欲なんて成り立たないし。『空気人形』じゃないけど、ただのモノとして欲情するっていうよりは、コミュニケーションに欲情するんだよね。コミュニケーションがないと、なかなか成り立ちがたいと思うんだよ、性欲が。

今までは全くコミュニケーションが行われていると思われていなかった二次元に、実は濃密なコミュニケーションが生まれていたというのが本田さんの主張のもっともラディカルな点だよね。それゆえに必ずしも現実の方でコミュニケーションを取らなくてもいいだろうっていう本田さんの話に説得力が生まれる。

西友のイブ
ただの性的な欲望の代用ならポルノでも、AVでもすでにあったけれどそれが電波男の話になるとコミュニケーションまでに二次元で円滑に回ってしまうようになったわけですね。

ヅラ夫
むしろ、だからこそ、ドン引きするわけだよね。ただのオカズにこの人本気だ!って話になってドン引きするわけ。

メルノくん
体の浮気、心の浮気。

ヅラ夫
そうそう。

メルノくん
体の浮気はいいけれど、心の浮気は許しません。

tangerine
久しぶりに喋ったと思ったら!今日は名言ばっかりですね(笑)

アンソニー
心の浮気が起きるのが、どうなのかっていう。

ヅラ夫
そうそう、そして僕は心と体は不可分だと思っていて。しかも、それが一人の彼氏や彼女に全部向かってしまうことが諸悪の根源だと考えているんですよ。

ルン
二次元においてもそういう性的なコミュニケーションの欲求を向けてもいいけれど、本田さんの初期の議論は「それだけでいい」って言っていたと思う。二次元だけでオタクはやっていけるんだ!っていう。

でもそれは多分変わったんじゃないかって思うんだよね。三次元の女性に対しても二次元の女性にするようにコミュニケーションを割り振って、魔女さんの彼氏みたいに二次元の生活と三次元の生活を両立させている人もいると思う。ちなみに僕の例を言うと、元電波男で、でも結婚しているんですよ。結婚していて、もちろん結婚生活をしているわけですよ。二次元と三次元を等価に付き合っているっていう。

ヅラ夫
チェブさんはどうなんですか?なんか話を聞いていて、きゅう~ってなっていましたが。

チェブ
違うんです。ヅラ夫さんの「心と体は不可分だ」というセリフに切なくなっているんです。

西友のイブ
ヅラ夫さんのせいなので個人的にフォローしてください(笑)

ヅラ夫
えー(笑)まあ、ラブプラスも同じでしょう。コミュニケーションの精度が上がっただけで。その意味では二次元の女性とコミュニケーションをするっていうのが、本田さんは絵だけを見て脳内補完するだけのマッチョなオタクだったんだけど、それをもっとコミュニケーションの精度をより簡単により濃密に、いかにも疑似コミュニケーションのようなツールができた。それがラブプラスであったと。

ルン
でもね。まあ、ユーザーとして反論すると、『ラブプラス』は二次元と三次元の境界を見事に取り払ってくれたんだよ。それで、二次元においてやっているコミュニケーションが、三次元でおこなうであろうコミュニケーションと変わりがないということに気づいた。

tangerine
ただ、他の人が「そんなんでいいの!」って言ってくるのが問題だってことでしたよね。ヅラ夫さんがいうように自分を支えるものを分散させるってことしかないんでしょうか。

ヅラ夫
魔女さんはどう?

魔女
別に自分的には平気なんですよね。

ヅラ夫
だと思うんだよね。当事者はそうだと思う。だって当事者にしか分からないこともあるだろうしね。それで支えられているなら問題ないわけだよね。でも、アンソニーくんが言うように外部から見る人が許さない。

tangerine
そういう問題を、どう解消するかまったく分からないですよね。

西友のイヴ
この対立は2010年代の大きな争点になるかもしれませんね。内部ではうまく成り立っていることが、外からは不自然なものに見えて、一方が他方を攻撃してしまう。

ヅラ夫
やっぱり、純愛思想というものの影響が大きいよね。きちんとしたお付き合いという枠組みがあって、それに当てはまってないと「可哀想」とか、「なんてひどい彼氏だ」みたいなふうに言われてしまう。どうしたらいいのだろう。

ルン
でも、15年くらいのスパンでみると事態は好転しているんじゃやないかな。別に可哀想とか言われる程度なわけでしょ。相対的にみると純愛圧力は低下しているのではないかな。

ヅラ夫
う〜ん。魔女さん、アンソニーくんの周りの人はどうなんですか?つまり、自分たちには彼氏や彼女がいて、魔女さんみたいなあり方はイレギュラーなの?。

魔女さん
友人の中では悪女扱いされますね。

tangerine
それに一歩間違えると、さっきのおっぱいパブの話も、彼氏にそれを許す魔女さんの方が悪いっていう風に言われてしまいますよね。

 

恋愛体質の人が向かう先

アンソニー
そうだと思いますよ。フランクに男女、関係なく付き合いたいって人もいるけど、その割合が劇的に変化しているわけでもない。

話は少し変わりますが、恋愛予想図で考えなければならないのは、恋愛体質の人が今後どこへ向かうかだと思うんですよ。なんでかというと、恋愛体質の人たちが恋愛のありかたを決めるからで。バブル期の80年代は、恋愛体質の人たちが色々なタイプの彼氏彼女を作りたがった。90年代になると、今度は恋愛体質の人が1対1関係を重視するセカイ系になった。

で、ゼロ年代は相手に全部依存するわけではないけど、本田さんを例に挙げると、恋愛体質の人間がリアルでの恋愛を諦めて、バーチャルな恋愛の対象を求めるようになった。2010年代、恋愛体質の人間が今後、どのようなところに向かうかを話したほうがいいと思います。

一同
それは大事なことだ!

西友のイヴ
この話で終われそうですね。

tangerine
やっと終わりが見えてきた~

アンソニー
これまでの話だと、ゼロ年代は、ゆるやか系な人とセカイ系な人が混在している過渡期のように見えるますよね。でも、今後フラットな関係を大事にする、ゆるやか系な人が増えていくかというとそうでもない気がする。

ヅラ夫
そうだね。今後、「セカイ系が再来する」って言われているし。でも、そうすると、魔女さんやアンソニーくんのような関係のあり方がおかしいというような雰囲気になって、大デートDVのような状況になってしまう。そういうふうになりかねないよね。確かに恋愛気質の人が80年代においては複数人に向かっていたのが、90年代にはたった一人に依存して、2010年代もう一度セカイ系が再来しそう。デストピアだよね~

西友のイヴ
再来してきたときには、さらにセカイ系の言説が強化させてきそうですね。

ルン
僕はあんまりそういう感じはしない。二次元の世界に住んでいると…

アンソニー
最近ドラマで『ラブシャッフル』とか、わりとフランクな男女関係を描いたドラマがありますよね。反セカイ系、ゆるやか系の流れとは言えませんか?

ヅラ夫
それはゼロ年代の傾向だよね。ただ、いまマイノリティなものだからこそ、ドラマのテーマになっているとも読めないかな。それに、今はゆるやか系なのかもしれないけど、僕はその反動がくると思うよ。それは「小悪魔ageha」を読んでいて感じる。本気なのか、煽っているのか、そういうキャラを演じているのか、本当のとこはわからないけど。やっぱり王子様を待望するっていう話が多いよね。そういう風に実際は、まさに流動性の中にのみを浸している人がいる。

 

恋愛の島宇宙化とバトルロワイヤル

魔女
私が思うのは、どちらがマジョリティかってことよりも、細分化されて、お互いが干渉しあわなくなるんじゃないかなと。

ヅラ夫
干渉しない方向にいけば問題ないけど、干渉する傾向はあるんじゃないかな。

西友のイブ
現状としては、恋愛のあり方が多様化しているけれども、第三者は無関心、あるいは適度な距離を持って見守るという状況に現在のところなっていないわけですよね。それが2010年代になって解決するのかな。

ヅラ夫
アンソニーくんの話で重要なのは、当事者同士間では問題がないわけ。でも、第三者がその関係をみて、悪いという人たちがいて。その人たちがいるせいで、それこそ、いいと思っていた人のコミュニケーションも機能しなくなるという問題が出てくるんじゃないかな。

魔女
徹底的に細分化すれば、お互いもうどうでもよくなるのではないかなって思いますよ。

ヅラ夫
長期的に見ればそうなうかも。2010年代、僕はどこかでセカイ系再来を期待しているのかもしれない…

アンソニー
なんか混沌としてきましたね。

西友のイヴ
あれだけセカイ系によるデートDVを問題にしてたのに…

ルン
ヅラ夫さん保守的だよ。僕は魔女さんと同じで、すごく世界が細分化していって、お互いがお互いに興味を失っていく、それでも付き合うことが可能になる時代になると思う。

tangerine
うーん、個人レベルではいつだってそうなんですよ。もっと俯瞰してみると、例えば負け犬vsオタクみたいな問題がでてくるのではないでしょうか。

西友のイブ
ルンさんは、当事者の恋愛のあり方が多様化すれば、他の人の恋愛にも寛容になるだろうということをおっしゃてるわけですよね。

ルン
社会全体が寛容になる。二次元に関していえば、寛容になってきた状況がある。

ヅラ夫
僕はアンソニーくんの問題の方が気になる。外からの強制力をいかにして緩和できるかが分からない。それは重大なことだよ。確かに魔女さんが言うように、みんなが他人に興味がなくなればいいけど。いまでも社会的弱者に対して猛烈なバッシングが行われるよね。例えば、派遣村問題なんかね。それを絶対に許さないっていう。

tangerine
そういった周囲の言説が当事者を傷つけるんですよね。

ヅラ夫
そうですよね。バッシングによって、関係が成り立たなくなる場合があるわけじゃない。どうでもいいとは思えない。

ルン
でも、その人たちの声が大きくなって、日本社会全体が派遣村にいる人たちの生活をめちゃめちゃにするというとはないと思うんだよね。

西友のイブ
先鋭化するのは仕方ないとして、他者からの圧力をどう減らすか、あるいは軽やかにかわすかが分からない。

tangerine
まったく分からないですよね。

ルン
そんな神経質になる必要はないんじゃないかな。

アンソニー
うーん、先は見えないですね。

西友のイブ
先は暗いですね。

魔女
私の個人的な回避の仕方は、キャラとして確立して、自分を悪女だと公言しています。肉食系女子というキャラクターになっているから、ひとつの役割になっています。

ヅラ夫
細分化されたキャラを演じていくという回避の仕方だよね。

ルン
でも、キャラ化は随分前からやっているよね。

アンソニー
逆に、他者からよく分からないキャラ化を迫られたときに一気に破綻してしまいそう。

ヅラ夫
そうだよね。うまくたち回れなくなったり。どうしてそんなキャラを演じなければならないのかとかね。

アンソニー
今後、その破綻が増えてしまう予感がする。要するにキャラ化を求めてくる人たちの価値観が多様化すれば、思わぬキャラ化を迫られる事態が今後ますます増えてくるのではないかな。

ヅラ夫
二者関係、三者関係ではもう恋愛の問題が解決できなくなってきているのは衝撃的ですね。

一同
沈黙・・・

 

新しい創造力を求めて

西友のイブ
場の雰囲気のどんどん沈んできましたね。このままでは、どのような解決手段があるかは回答を出すことは難しそうですね。

tangerine
ここで答えが出せなかったことをモティーフにした素敵な物語が出てくるといいですね、とか言って(笑)

西友のイブ
うーん、そうですね。こうした問題を解決してくれるような作品や状況を我々はこれから待ち望んでいましょう。作家でない僕たちの乏しい創造力では解決できない問題なので、新たな才能の待望をいたしましょう。こうした問題意識に基づいた作品をつくってほしいですね。

ヅラ夫
そうそう。これからの問題は二者関係、三者関係では解決しないぞと。

アンソニー
全部投げた!(笑)

西友のイブ
新たな展望は、未来の、2010年代の才能に託したいと思います。僕たちの描いた恋愛予想図は、なんとなく見通しをたてただけですが。

ヅラ夫
「急募byドネルモ」ってことで(笑)

西友のイブ
か な り、強引ですが、終わりにしましょう。それではみなさん、長い間ありがとうございました。

 


小谷野敦

文芸評論家•小説家。1999年に出版された『もてない男』では、誰もか恋愛を自由に謳歌しているような昨今の風潮の中で、無視されていた「もてない男」の存在を問うている。小谷野氏曰く『もてない男』は、「個人的なことは政治的なことである」というフェミニズムのテーゼに対して、だったら「もてないことは政治的な問題か」を問いかけた本とのこと。

 

空気人形

原作は業田良家の『ゴーダ哲学堂 空気人形』。古びたアパートに住む中年男の秀雄が所持していた空気人形(ダッチワイフ)が、ある朝以来心を持つようになり、やがて空気人形は街へ繰り出し、純一が働くレンタルビデオ屋でアルバイトをするという悲喜劇。2009年には、映画化され話題になった。ペ・ドゥナ万歳!!

 

 

ラブプラス

『ラブプラス』 (Loveplus) は、2009年9月3日にコナミからニンテンドーDS向けに発売された恋愛シミュレーションゲーム。キャッチコピーは「国民的G・F(ガールフレンド) デビュー!!」

 

 

ラブシャッフル

ラブシャッフル(恋人交換)を実施することになった4組のカップル達の恋愛模様を描いたオリジナルラブコメディ。

 


 

 

----- clear -----


« 別冊ドネルモ vol.3... | 別冊ドネルモvol.4『... »

関連記事

| 2010年代の恋愛予想図 Part2 | 2010年代の恋愛予想図 Part1 | 長門有希の変身―『涼宮ハルヒの消失』を覆う儚き願い | 「福岡の河童に引かれて」 ドネルモ・ヒストリエ エッセイ編① | 別冊ドネルモ/トークライブ《今、私たちが生きる「コードギアス」》 | ドネルモ・プレスパーティー ~2009年活動&2010年活動予定報告会~ |


トラックバック(0)

トラックバックURL: http://donnerlemot.com/mt/mt-tb.cgi/621

コメントする