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コダマ・カフェ・エンターテイメント @Part.2


Text:山内泰

今回は、2010年1月15日に行われたカフェ・ディレクターの児玉覚生さんによるトーク&ワークショップのPART2をお送りします。イベントの後半は、<福岡>と<カフェ>というテーマに基づいて、児玉さんと参加者のみなさんとで<マインドマップ>を作成して頂きました。さて、どのような新しいアイデアが生まれたでしょうか。それではどうぞご覧下さいませ。

アイデアの連鎖反応

児玉さんは、アイデアを思いついた場合、それをメモするのはもちろん、そのアイデアを〈誰かに話す〉のだそうです。そして興味を持ってもらえたら、更に具体的に話していく。もっとも具体的に話すためには、実際にそのアイデアを具体化するとどうなるのか、説明する必要があります。そして、この具体化のプロセスを考え、人に伝えようとするところに、児玉さんのアイデア力の秘密があるように思われました。

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例えば「美術館のカフェでお酒を出したら面白そう」とアイデアを思いついたとします。すると次に、美術館でお酒を出すにはどうしたらいいのかを考えてみる。〈お酒を出す美術館〉はありません。でも、〈美術館でお酒を出すことを禁止している法律〉も、調べてみるとなかったのです。ということは、美術館でお酒を「出していけないことはない」。そうであるのなら、では、どうして現状では出されていないのか。そこから児玉さんは、保健所など美術館以外の機関を訪ね、「美術館でお酒を出してはいけないのか?」と問うていくのです。そうやって〈美術館でもお酒を出しても問題なし〉という証拠を集め、そしてそうした証拠を持って、美術館に交渉に行く。すると、今度は美術館が「お酒を出してはいけない」ことを証明しなければならない・・・。交渉は俄然有利になります。そうやって児玉さんは、実際に美術館でお酒を出すカフェを実現したのでした。P1150593.JPG

ここでは、アイデアを発想すると同時に、それを具体的に〈かたち〉にしてゆくプランまで考えることが、元のアイデアを〈実現するためのアイデア〉の発想へとつながっています。だからでしょう、児玉さんがいつも持ち歩いているノートには、思いついたアイデアと、それを具体化し実行する場合のプランや予算などが様々にメモされているのです。そこで起きているのは、「人に具体的に説明する」ことに起因する〈アイデアの連鎖反応〉に他なりません。つまりそれは、〈プロジェクトのためのコミュニケーション〉のために人と人が交流する中から生まれてくる連鎖反応であり、児玉さんに言わせるなら、まさに「カフェ」という活動の中で生じるものなのです。

ワークショップ 「福岡」と「カフェ」をつなぐもの

トーク後のワークショップでは、児玉さんと一緒に〈マインドマップ〉を製作しました。大きな紙が二つ用意され、それぞれ「カフェ」と「福岡」について連想されたことが、参加者のみなさんによって、枝葉のように書き連ねられていきます。P1150625.JPG

しかし児玉さんは「カフェ」と「福岡」をつなぐものが欠けていることを指摘、「この二つをつなぐものが、僕の言いたい『カフェ』なんです」と言います。つまり、「美味しいコーヒー」「おしゃれなインテリア」といった〈カフェ〉から連想される事柄と、「食べ物が美味しい」「美人が多い」といった〈福岡〉から連想される事柄、これら二つをつないでいく〈場所〉こそ、児玉さんの考える「カフェ」というわけです。たしかに、「カフェ」と「福岡」の間をつなぐものは、この二つのマインドマップには見出せませんでした。恐らく、連想に連想が連なって行くマインドマップでは、実際に「どこで」「どのような」カフェをやるのかという〈具体化へのプラン〉を描きにくいのかもしれません。

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そこでワークショップの終盤では、〈福岡でカフェをする〉場合に、どんな場所でどんなやり方が考えられるか、といった〈具体化へのプラン〉への問いが出されました。時間の都合上、イベントの議論はいったん終了とはなりましたが、その後、この具体化への問いをきっかけに、実際に福岡でカフェ企画を展開するプロジェクトが、児玉さんプロデュースで動き始めています。

日常から「非日常」を見つける方法

《アイデアは単に思いつくだけにとどまらず、それを具体化しようとする営みの中にこそ、

より創造的なアイデアの連鎖反応がある。》

そう考える児玉さんのお話に、「従来のアイデアのイメージががらりと変わった」といった大好評のアンケートを多くいただきました。

アイデアに関する固定観念が、児玉さんのお話で突き動かされ、崩壊し、そして新たに組み替えられていく。そのとき、その人は、日常から「非日常」を見つける方法を会得したとも言えるでしょう。というのも、アイデアに関するパラダイムが組み替えられる経験は、その経験の以前/以後で、世界の捉え方をがらりと変えてしまうからです。すると、これまで「出来ないと思っていたこと」が「出来そうなこと」に、「ありえない」が「ありうる」に、「日常」が「非日常」になっても、何らおかしくはないのです。P1150660.JPG

トークの際、児玉さんは、実行が決まっているものから思いつき程度のものまで、考えているカフェ企画を箇条書きにしたものを紹介しました。そこには、〈世界の通貨が使えるカフェ〉といった実現可能性の高そうなものから、〈公園での無人カフェ〉や〈宇宙船での茶室企画〉、更には「自宅の前に道路を作る」あるいは「近所の川に橋をかける」といった、カフェとは無縁とも思われる、冗談めいた企画も散見されました。

しかし、なんとも油断できないのは、児玉さんは、こうしたあたかも冗談のような企画を、やはり〈カフェ〉として、これまでにも実現してきたという点でしょう。そして面白いことに、イベントで児玉さんのトークに接した今、こうした企画を、自分たちでも具体化し、実現していく自発性が、参加した人々の中に起こり始めています。前述した福岡でのカフェ企画は、その一つの例にすぎません。

今回の児玉さんとの出会いをきっかけとして、様々なプロジェクトが展開されるでしょう。それらのプロジェクトで、〈具体化していくアイデア〉の連鎖反応が起こるかどうか。今後をご期待ください。

 



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