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若手個人アニメクリエーター TalkAround!! セッション2:大桃洋祐×植草航×山元隼一(前半:5/5)


コンペは目標であって目的ではない

ドネルモ
なるほど、では作品の発表の場とか流通の仕組みといいますか…。アニメーションでは、youtubeとかニコニコ動画で知名度が一気にバンっと上がって、その中で京都にいても福岡にいても仕事が来る、という状況があるらしい。そんなアニメ界の中で、大桃さんとか植草さんは実際にコンペで受賞されて、まさに「今からどうするか?」という時期でしょう。そういった自分の発表の場とか、それがどういう風に回っていくかについて、何か思うところなどありますか?

大桃
うーーん、今の時点だとまだそこまでピンと来てないところがあるんです。コンペで賞を取ったことによるリアクションみたいなものが。僕はそんなに数はないんですが、これから出てくるのか、出てこないのか、よく分からないんです。

ただ、コンペで賞を取ること自体が、ものすごくどうこうあるわけではないよな、と。何というか、「きっかけ」程度で。

植草
コンペでいろいろ受賞させていただいて、声をかけてもらって、お仕事もさせていただいて、それがきっかけでフリーになっていく、ということは色々とあるんですが…。どちらかというと僕がコンペに行ってみて思ったのは、コンペは大きなきっかけであって、そこを目的にするのは違うってことです。

コンペで受賞すること自体が目的ではなくて、コンペティションとか上映会の目的というのは、「映像作家を応援していこう」というコンセプトであったりして・・・。だから僕は、滑走路みたいなものだと思ってるんです。そこに自分の個性とかを作品に落とし込んで、「これからあなたは、どういう形であれ社会に関わり合いながら、あなたのスタイルで社会に出て、ちゃんと厳しい思いもして、がんばって飛び立ってくださいね」と。もしくはそういったものを経験してきた人が次のステップに進むための助走だったり。そういうのを応援しているのがコンペだ、と思っています。

コンペティション自体が、そういった自分の作品を評価してくれる世間の縮図のようなところがあったりしますよね。昔から結構、名前とかを知っていて憧れていた審査員の先生が、直接に自分の作品に対して、「君の作品に足りないところは、こういうことだね」と言ってくれることも大切だし、何よりお客さんの反応が一番大切だし。

そういう意味で「こういうふうに評価されるんだ」「こういうふうに評価されるんなら、僕は社会でこうやってがんばろう!」とか意気込みをつける、そういうイベントだと思いました。

ドネルモ
なるほど。大桃さんはいかがです?

大桃
はっきりしたことは言えなくて、推測とか感触になるんですが、いま航君がいったように、コンペで賞を取ることは、今後の活動をしていく上で、必要な過程だとは思うんです。だからコンペティションという場自体は、作家にとってすごく有意義で大事な要素だと思うんですけど…。

ただ実際に、そのコンペティション自体が自分をどうこうしてくれる、ということは絶対にないなと思ってます。むしろ取ったことを使って、じゃあ次に自分が何をするかが問題になってくるんです。それこそ賞を取ったからその作品がパッケージになるとか、そういうこともなくはないんです。ただそれは本当におまけ的についてくるぐらいのもの、という感じがしてます。

でもそれは絶対に必要な過程なんですけどね。今まで自分で作ってきたものを多くの人に見てもらって、どういう風に見てもらえるかを知る、ということ自体も大事だし。後は、客観的というか、社会の中でどうかについて言えば、受賞歴・「こういう賞を取ってますよ」という名札というか名刺を持っていることで、できることとできないことは絶対に出て来るので。そこまで考えて、「(賞を)取ってから、それをどう利用していこうか」と考えることが、作家にとっては大事なのかな、と思います。

ドネルモ
山元君はどうですか?

山元
そうですね…。植草君も大桃君も言ったけど、コンペに入ることが完全な目的になっちゃいけないというか。

ドネルモ
3人がそういう風に言っている前提には、コンペに入ることが目的になっている状況がある、ということですか?

植草
「あの賞を取ったらすごいよね」みたいなものはあるんです。過去に自分がそう思っていたフシがあったからかもしれないです。

山元
そう思ってるんで、「なんで入らないんだ?」みたいなものはあった(笑)。でもコンペは一つの目標というか、〆切もあるので、これに間に合わせないといけない、というリミッターにもなる。作り続けたら1年以上かかるんですが、そのコンペに出すとなると、膨大な作業と思っていたら、意外と間に合ってしまったりします。そういう意味でかなり便利なんですよね、コンペが毎年何かしらあると。

ただコンペに出すってなったとき、「これって表現としてすごく面白いよね」というところで走りすぎると、そのあと仕事ができないよな、とか思うんです。お笑い芸人に近いと思うんですけど、一発芸的なアニメーションに走るんじゃなくて、どっちかというと「くりーむしちゅー」みたいに安定して笑える笑いをめざそう、と(笑)。

一発芸だとすごい斬新でグランプリを取りやすい半面、飽きられるのも早いんじゃないか、と。それだと僕が目指している映像クリエイターには、安定した映像クリエイターにはなれないな、食っていけないな、と思って。

どっちかというと、そこで基本は身につけていきたいな、と。だからカット割とかをちゃんとやるとか、脚本がしっかりしてるとか。ただそれだと、「商業でいっぱいあるから、いらないよね」と言われて、コンペでめっちゃ落とされたんですけど。

アート寄りにしつつ、商業寄りにする時に、自分の好きな商業とどういうバランスをとるか、という面でいろいろやっていたんです。

植草
コンペを取ることが目的じゃないと言っている理由は、やはりコンペを取ったからといって、自分の好きな業界の即戦力になれるわけではない、という気持ちがあるんです。山元さんが、一発芸と言ってましたけど、僕的にはそういうものを大衆の場に提示できる場所という意味で良いな、と思うんです。

自分は「これって面白くないかなあ?」「この手法は面白くないかなあ?」と思って企業売り出しに行っても、タイミングが悪かったり、売り込み方が不器用だったりと色々な理由で、「いや、これはたぶん皆が知らないから、ニーズないでしょう」と言われるかもしれない。でもコンペだったら「面白い!」と思われたりする。まあ今はyoutubeがあるんで、youtubeに上げればいいのかな、とも思うんですが。

コンペ自体にもそれぞれの個性や流れやタイミングなどもあると思うんですが、ただそういう自分が考えついた面白いものを、いろんな人に見てもらう機会に、コンペはなっている気がします。だから山元さんが言った悪い部分もあるけど、逆にそういう良い部分もあったりするなあ、と。

山元
マイノリティを支える場じゃないと、絶対にコンペは駄目だから。むしろコンペはマイノリティというか、「表現として斬新」なものを扱わなきゃいけない。

植草
ずっとその人が、その「斬新な表現」を続けてれば問題だけど…。

山元
そう、そこに囚われ続ける可能性があって、一回くらいは自分も思いつくかもしれないけど、次はでないな、という気がしたんです。「そんなに僕はアイディアタイプじゃないな」と思ったりするので。コンペでは商業の監督が審査員をするので、マイノリティな表現の方が面白い、という風になるのかな、と。コンペはそちら側を支えないといけないから。そこで、自分の表現をどう認めてもらうか、どう折り合いをつけるか、というところですね。

 

 

 

セッション2(後半)につづく!

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10/12/01 19:26 | コメント(0) | トラックバック(0) このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーのはてなブックマーク数 Buzzurlへ追加このエントリーのBuzzurlブックマーク数 livedoorクリップへ追加このエントリーのlivedoorクリップ数 Yahoo!ブックマークへ追加人が登録 POOKMARK Airlinesへ追加 Saafへ追加 ニフティクリップへ追加 add to del.icio.us add to Digg add to Reddit

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