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【インタビュー】あの日見た秩父の地を僕は忘れることができない【商工会議所編】(3/3) |
渡邉
アニメを産業に使う不安はなかったんですか。
商工会議所
ありますよ。不安ばっかり(笑)
渡邉
オタクである私から見てもアニメを地域活性化に使うのは、鷲宮の成功があるにしろ一歩引いてしまいがちだと思うんですが。
商工会議所
秩父は観光地で鷲宮は住宅地なんですよ。観光地の秩父がアニメで本当に動くのかなとマスコミもみなさんもそういう視点で見たと思うんです。
渡邉
観光地と住宅地って違うんですか。
商工会議所
鷲宮を見ていただけると解るんですが、商店街って感じではなくて店舗がぽつんぽつんとある。秩父は商店街っていう形に一応なっていますよね。商業集積があったり観光地があったりと。元々のロケーションや商業・観光業者は秩父が圧倒的に多いはずです。だからこそ「アニメと無縁の観光地が本当に本気でやるのかな」とみんな思っていたはずです。
渡邉
でも地域の皆さんはアニメに関して肯定的で自然と抵抗なく受け入れた印象を受けました。地元の人とお話したんですが、アニメに対して素直な受け取り方で「アニメやっているね」「めんまちゃんかわいいね」「じゃあがんばっちゃお」っていう雰囲気があるんです。
商工会議所
否定的な人はいるにはいると思うんです。でも道を聞かれたらしっかり案内してくれるということを聞いていて安心しています。やはりおもてなしの心がない人がご案内をしてしまうと……
渡邉
ファンとしてもがっかりしてしまいますよね
商工会議所
つまり秩父のイメージダウンにもなるんです。毎週来て下さっている方もいらっしゃいますし。秩父へ10回目とか。リピーターの方が多いかもしれないですね。夏休みに入って初めて来るという方も増えてきていますが、放送終了から夏休みに入るまではリピーターの方が多かったですね。
そういった点を含めて理想は鷲宮だと思っています。アニメと関係なく訪れているという点ですね。地元の人との交流が「このおっちゃんに会いに来た」というレベルです。
渡邉
もう『らき☆すた』終わって4年ですものね。
商工会議所
『らき☆すた』を見たいんじゃなくて、鷲宮のあの店に行ってあのおっちゃんと話したいんですよ。『あの花』の舞台から秩父のファンになるという最終形をやっているのは鷲宮だと思います。この交流を作るのは大変ですよ。
渡邉
そうですね。アニメファンから地元ファン、さらに地元の住民みたいな感覚にしなくてはいけないじゃないですか、「あのおっちゃんに会いに来た」というのは。もう第2第3の故郷というレベルですね。
商工会議所
そうなるには地道にやるしかないですね。『あの花』の取り組みが始まってずっと見ているんですが、我々が言わなくても民間の方々が交流しているんですね。そこをわざわざ働きかけなくても自然とそういう仕組みができていくんじゃないかなって。商工会議所としてはファンが来ていただいた時に参加しやすいイベントとかを作らないと。
渡邉
商工会議所としてはイベントを作ったり、通常業務である経営相談などをしたりすることによって、『あの花』を入り口としたその後の活性化に繋がっていくんじゃないかということですね。
商工会議所
その通りだと思います。面白いのがね、そのためには商工会議所の60歳以上の方々にアニメに関してのレクチャーをしなくちゃいけなくて……(笑)
商工会議所がいろいろやっていく中で、街が盛り上がっていく背景になるアニメを少しでも見てないと、それは嘘だろうと。DVDを見てもらったんですが「んー良く解らん」と言われてしまって(笑)。でも秩父の描写をしているのは見ているんですよ。それで十分じゃないかと思います。それでアニメの存在を強く焼き付けましたから。
「あの花」の聖地巡礼の様子を収めた動画は、youtubeなどに様々に投稿されている。コメント欄では、地元の人(秩父の人)をうらやましがる人も。
インタビューにて、秩父市商工会議所の方も盛んに言及されている鷲宮についての特集。
らき☆すたとオタクと鷲宮について、それがどれほどの盛り上がりになっていたのか、有名な次の動画もおすすめです。
商工会議所
持続的なファンを獲得するために商工会議所としては、例えばファンが楽しめるようなイベントを作っていく。グッズについては大手のメーカーさんは普段作っているクリアファイルとか比較的使いやすいものを『あの花』バージョンのようにしてくるんですが、こちらはうまく秩父が元々持っている特産品を使って秩父ならではのオリジナルグッズを作れないかと考えています。それって地元の魅力を知ってもらう1つですから。
秩父は元々織物産業が栄えていた地域です。だから『あの花』のキャラクターを使った手染めのアイフォン用のきんちゃくとか考えています。秩父の織物技術を使って手で1つ1つ作って染め上げるんです。その代わりに職人が作っているので大量生産は効きません。
伝統産業ということで、最悪売れなくても秩父では「こういう技術を持った人がいるんだよ」と知ってもらえれば十分かなと。これからアニプレックスさんに商品化の企画申請をしてみてようと思っています。
渡邉
秩父でしか作れない『あの花』グッズということですね。
商工会議所
しかも特定の○○さんじゃないと作れないものですね。
あと秩父って元々お祭りが多いところなんです。だから何らかの形でお祭りにファンの方が一緒に参加していただくことを考えていきたいと思います。各地域のお祭りに交渉したわけではないですから未定ですが、元々観光地であってお祭り文化があるところです。鷲宮と比べて数も謂れも多いです。そこらで一緒にできることってないんだろうかってことを考えながら提案していく。
渡邉
鷲宮にはないメリットですからね。「観光地だからこそできること」がたくさんあると思います。
商工会議所
さっきのお焚き上げ式もそうじゃないですか。『あの花』の「願いを叶える」というストーリーともマッチする。そんなアイデアを出せば、ファンの方は悪いイメージを持たないんじゃないかなって。
渡邉
そうですね。ファンとしたらアニメの世界観を壊さず、そこに秩父があって、アニメと秩父がマッチしてファンがいられる第2第3の故郷になるというのは幸せでしょうから。
商工会議所
今日お話しして、ファンの方は「世界観を壊さない」というのを大切にされているんだろうなと再確認しました。これを参考にしていろいろ考えたいと思います。
渡邉
大したこと言ってませんよ(笑)、とんでもないです。
商工会議所
いえいえ、ぜひファンになってまた来てください。
渡邉
ぜひまた。本日はありがとうございました。
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