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【新春企画】「わたしの2011年たち」 〜石田陽介さんのばあい〜


テキスト:石田陽介(アトリエHプロジェクト)
構成:宮田智史 (ドネルモ)

 

新春企画「わたしの2011年たち」

ドネルモHP新春企画「わたしの2011年たち」と題しました本連載特集は、ドネルモのスタッフやゆかりのある方々に2011年を振り返ってもらおうというものです。

2011年は例年にも増して、様々なことが起こった年でした。震災や原発、オウム裁判の終結、地デジからなでしこW杯優勝、まどかマギカまで、本当にたくさんのことがおきました。

そんな1年だったからこそ、普段の生活でどんなものに出会い、感動したり、怒ったり、楽しんだりしたのかを、とりわけ極私的で独断と偏見に満ちた視点で、2011年に出会った作品や出来事を通じて紹介していきたいと思います!

第二回目は、アトリエHプロジェクト代表の石田陽介さんが紹介する「映像民俗学シリーズ・日本の姿」です!それではどうぞご覧下さい。

 

2011年にわたしが出会った作品

 

2011年春、ニューズ映像が終日‘3.11’後の惨状について報道を繰り返す最中、私は友人を介して「映像民俗学シリーズ・日本の姿」(*1)と出逢っていった。それは民族文化映像研究所の所長である姫田忠義氏(*2)が、日本各地の山村・漁村の姿、市井の人々の営みを40年以上に渡って真摯に撮り貯めたドキュメンタリー作品群であった。

スクリーンには、いまだ‘野生の思考’が脈々と息づく村々において日々の暮しに勤しむ人々の営為が映されていた。その土地に暮す者ならば皆が皆当り前のように身に着けている神業のような手仕事の数々。その業によって織り成される村の日常や、子々孫々受け渡され続けてきた年中行事の豊穣さとその妖しさ。共同幻想が豊かに生き続け、身土不二が自明の理として体現されていた頃のこのくにのまぶしいほどまでの素顔が、静謐な視座によってしたためられていた。神々しいまでの暮しの美しさに、またそのあまりの儚さに、私は打ちのめされていった。それは‘3.11’を目の当たりにし、どうしようもなく心が揺れ動いていた私の魂の復興体験であったように振返る。

ロールシャッハテストのごとく「日本の姿」は、混迷を極めるこのくにの蒙昧な姿を照射していくように思えて私にはならない。かつて日本が近代化を急ぐあまりに惜しげもなく切捨てられてしまった‘とるにたらぬ’ものたち。故人たちが織り成していた日々の暮しを見つめ、私たちの始原ともいうべきその虹の袂を掘ってその奥底に耳をすませることより他に、私たちが学ぶことの基層はないのではないか。民俗学とは、かつてこの地に生きた無名の先人たちの所作を深遠なリベラルアーツとして享けとめ、明日の扉を開くための未来学とする意志であることに、私はこの作品群を通して気付かされていった。

「文化というのは、私たち人間の生きる力がなえた時、弱まったとき、くじけそうになった時に、私たち人間を支えて、生きる力を強めるものだと定義したい」と姫田氏は述べている。今こそ私たちは‘文化’を深く欲している。「映像民俗学シリーズ・日本の姿」は、比類なき巨きなギフトとして‘3.11’後のこのくにを生きる私たちへと贈られている。半世紀近くに渡って日本の基層文化をみつめ続けてきた姫田氏の作品は、人間が恢復へと向かうための「野をひらく鍵」をそうっと手渡そうとしているのだ。

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著者紹介

石田 陽介 (アトリエHプロジェクト代表)

出版社勤務を経て、佐賀の精神科病院にてアートセラピストとして勤務。2006年より九州大学子どもプロジェクトのアドバイザーとして子ども未来学の社会的実践研究に携わる。

2009年よりアートを通したコミュニティ文化の再生と地域社会におけるセルフケア文化の構築化を目指し、アトリエHプロジェクトを始動。ソーシャル(まちの)アートセラピストとして福岡市や唐津市においてコミュニティアート活動を継続的に展開している。
(アトリエHプロジェクトHP:http://h.kansei-science.com/

 

石田さんじゃない人の2011年たち

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牛島光さんの場合 

 

 

映像民俗学シリーズ・日本の姿 NO2「アイヌの結婚式 予告」

 

(*1)

「映像民俗学シリーズ・日本の姿」(民族文化映像研究所 企画・製作・発行)映像人類学者・姫田忠義が40年以上に渡って撮り続けた日本の村々の映像ドキュメンタリー作品群。

 

(*2)

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1928年9月10日神戸生まれ。旧制神戸高商(現神戸商大)卒。1954年上京し、新劇活動、テレビのシナリオライターのかたわら民俗学者宮本常一氏に師事。1961年から映像による民族文化の記録作業を開始。1976年民族文化映像研究所設立。以来、同研究所所長。徹底したフィールドワークを基礎とするその活動は、日本記録映画史においてもユニークな立場を築き、海外の研究者からは「映像人類学」と捉えられている。(中略)2008年現在、民映研の製作した映画作品は119本。ビデオ作品は150本を超えるが、その大部分の脚本と演出を担当。2003年からは紀伊國屋書店並びにポルケとの共同制作で映像民俗学シリーズ「日本の姿」(2008年現在第7期全31巻)をリリース。(※ 以上、民族文化映像研究所ホームページより抜粋 http://www31.ocn.ne.jp/~minneiken/
nihonnosugata.htm

 


 

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12/01/02 23:00 | コメント(0) | トラックバック(0) このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーのはてなブックマーク数 Buzzurlへ追加このエントリーのBuzzurlブックマーク数 livedoorクリップへ追加このエントリーのlivedoorクリップ数 Yahoo!ブックマークへ追加人が登録 POOKMARK Airlinesへ追加 Saafへ追加 ニフティクリップへ追加 add to del.icio.us add to Digg add to Reddit

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