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【新春企画】「わたしの2011年たち」 〜古賀徹さんのばあい その2 〜


 

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                                                                    《デモ行進の列》

 

しかしそうした自由の理念は、その先端の一つであるウォール街で若者の挑戦を受けている。若者たちの怒りは、リバティを追求する国家プロジェクトが巨大な社会的格差を生み出し、それが人々の自由を実質的に奪っている矛盾に対して向けられている。

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《年配女性のデモ活動》

デモの若者達は、失業や学費ローンなどの自分たちの問題だけでなく、自由の名によって認可されている貪欲、社会的格差の放置、福祉の軽視、人種差別、そしてパレスチナの問題を同時に取り上げていた。つまり彼女たちや彼たちは、リバティの名による隷属化を問題にしているのである。

私がそこを訪れたとき(2011年12月2日)、ウォールストリートを占拠していたのはもはや若者達ではなく、警察だった。柵が張り巡らされ、騎馬警官が文字通り闊歩して威圧している。だが公園の片隅やビルの公共空間に人々は集まり、議論を続けていた。ウォールストリート・ジャーナルをもじった占拠運動の機関誌、オキュパイド・ウオールストリート・ジャーナルも健在だった。人々の話を聞いても、社会的格差を緩和する福祉制度を具体的に提案するというよりは、人々の隷属化を批判する方に力点があり、その主張において説得力を示すように私には思われた*。

 

若者の挑戦

2011年9月に世界経済の中心地ニューヨーク、ウォール街において発生し、各地に広まった「占拠」運動のこと。日本のメディアでは主に「ニューヨーク反格差デモ」と報道された。こうした「占拠」運動は、大手金融機関や「1%」と呼ばれるごくわずかな富裕層、政府に対して、不景気や失業難から生じた経済格差の拡大を抗議する運動と一応はみなすことができる。ただし、デモ参加者の主張は多様で、具体的な政策提言や運動の目標が提出されなかったため、日本国内のメディアにおいても、運動自体は肯定的に取り上げながら、その成果や方向性に対して疑問を持つ論調が多くなされた。今回の古賀さんの記事は、そうしたメディアの主張とは異なる視点を紹介するものである(注:構成・宮田談)。

 

ウォールストリートの騎馬警官

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*オキュパイド・ウオールストリート・ジャーナル

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“We did a course on history and the Declaration of Independence and colonialism and slavery. It was real. It was hard. It hurt. But People listened." Occupied Wall Street Journel Issue 5, November 2011.

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《プラカードを掲げた抗議活動》

リバティを問題視しているはずなのに、彼女たちや彼らの背中をリバティの理念が貫徹している。なぜなら人々はリバティの剥奪を告発することで自らの自由を実現し、そのことで誇りと尊厳と輝きを示しているのだからである。すべてが合衆国のプロジェクトに回収されていく。自由の偶像は、そんな人々のあり方をも含めて、すべてを肯定しているのだと思われる。

 

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著者紹介

古賀徹(哲学者)

ドネルモにおいて現代思想のレクチャー「BOOKSTEADY」を担当。
その他の経歴はHPをご覧下さい→http://kogatoru.sakura.ne.jp/

 

古賀徹さんじゃない人の2011年たち

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12/01/04 17:05 | コメント(0) | トラックバック(0) このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーのはてなブックマーク数 Buzzurlへ追加このエントリーのBuzzurlブックマーク数 livedoorクリップへ追加このエントリーのlivedoorクリップ数 Yahoo!ブックマークへ追加人が登録 POOKMARK Airlinesへ追加 Saafへ追加 ニフティクリップへ追加 add to del.icio.us add to Digg add to Reddit

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