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【新春企画】「わたしの2011年たち」 〜牛島光さんのばあい〜


テキスト:牛島光
構成:宮田智史

 

新春企画「わたしの2011年たち」

ドネルモHP新春企画「わたしの2011年たち」と題しました本連載特集は、ドネルモのスタッフやゆかりのある方々に2011年を振り返ってもらおうというものです。

2011年は例年にも増して、様々なことが起こった年でした。震災や原発、オウム裁判の終結、地デジからなでしこW杯優勝、まどかマギカまで、本当にたくさんのことがおきました。

そんな1年だったからこそ、普段の生活でどんなものに出会い、感動したり、怒ったり、楽しんだりしたのかを、とりわけ極私的で独断と偏見に満ちた視点で、2011年に出会った作品や出来事を通じて紹介していきたいと思います!

第8回目は、ドネルモスタッフの牛島光さんの「私の2011年」はプチ農業です!それではどうぞご覧下さい。

 

プチに農業する

僕の2011年最大の出来事は、“稲”を育てたことだった。と言っても就農したわけではなく、福岡の中心地、天神のオフィスビル屋上で、ペットボトル稲(※注1)企画に取り組んだのだ。種もみを芽出させ、プリンカップで苗を育てる。時期が来ると、水・土・肥料を満たしたペットボトルに植え替えて、あとは田んぼと一緒。水やり、日当たりが不十分でなければ、すくすく育っていく。場所を選ばずどこでもできることから考えると、プチ農業(※注2)というジャンルになるのだろう。

この企画がスタートするまで農業に関する知識も技術もなかった。けれど、幸いなことに頼れる協力者にも恵まれ、インターネット上には似た取り組み(バケツ稲など)の情報が十分にあった。また、田んぼは職場のあるビルの屋上だ。畑や田んぼでの農作業に比べて、はるかに気軽だった。

不安もあったがその分まめに世話し、わからないことはその都度質問することで解決していった。稲はトラブルに見舞われながらも順調に育っていき、8月には、青々と茂って出穂も間もなくという稲の姿に、企画参加者と作物を育てる歓びを噛みしめていた。しかし盆を過ぎたころ、原因不明の病気や都会の雀に襲われた。そして、何か月もかけて育ててきた稲は間もなく枯れてしまい、僕の人生初“農業”はあっけなく失敗に終わった。

 

*注1:ペットボトル稲

ペットボトルで稲を育成する取組。2リットルペットボトルを横置きにして、土と肥料、水を入れることにより小さな田んぼを再現する。メリットは小さなスペースしか必要ないこと、移動が自由なこと、ペットボトル単位のため、愛着が持ちやすいことがあげられる。稲一株ごとの収量は、三株で茶碗一杯分の米と、田んぼでとれるものと変わらない。

P1150552.jpeg

 

*注2:プチ農業

都市型農業形式。市民農園や区民農園などが充実によって、ロハス志向の人々を中心に普及している。全国にある市民農園の数は6000以上あるといわれており、背景には市民農園整備促進法が農林水産省によって制定されたことが影響している。

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僕は大いに落ち込み、協力者や企画参加者も落ち込ませてしまった。今でも、そこらの田んぼを見ると、無性に切なくなったりもする。ただ、その切なさの中で、ふと気づいたことがある。企画開始前より、お米が美味しく感じられ、田んぼが美しく見えているのだ。企画参加者に聞いて回っても同様だった。

20110805-2.jpeg《天神のオフィスビル屋上》                 

その気持ちになった理由は簡単だ。自分が体験したことで、どの田んぼもお米も「手間をかけた人々がいるから成り立っている」ということがわかったからだ。小学校で口酸っぱく言われてきたことだが、結局、多くの物事を無意識に当たり前として置き去りにしてしまっている大人にとっては、自らの体験を通さなければ、その当たり前を突破できない。            

《天神パークビル屋上ペットボトル稲作「たのしイネ」収穫祭「わけあって地元ごはん」の動画》 

天神パークビル屋上ペットボトル稲作「たのしイネ」収穫祭「わけあって地元ごはん」

日時:2011年11月20日
場所:A21号 THE SHARE 冷泉荘

「たのしイネトークショー&パネル展」

出演:牛島光(スペースRデザイン餅つき課・天神パーク田管理人)、平尾健二(福岡教育大学准教授・たのしイネ顧問)、吉原勝己(吉原住宅代表取締役・天神パークビル(田)オーナー)、進行:森千鶴子(たのしイネ言い出しっぺ)

「わけあって地元ごはん」

参加者みなさんのふるさとにちなんだ「ごはんに合うおかず」を持ちより、わけあって、みんなでいただきます!生産者直送の新米の販売もあり。

 

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従来プチ農業は、コミュニティの獲得・健康維持・レクリエーションとしての側面で評価されている。ただ、都会で暮らす僕たちにとっては、気軽にできる“プチ”が、当たり前の先へ思いを巡らす入口になり得ると僕は思う。その先にあるのは、農業、農業者と作物、そしてそこにまつわる物語だ。当たり前を見直して、革新しようだとか、反省しようだとか言うつもりはないけれど、自身の体験を通して当たり前の先の物語にコミットしていくことは、きっと僕たちの日常を少しだけ豊かなものにしてくれる。

そして、それは農業に限ったことではない。日常を大きく変えていくより、日常の中にあるたくさんの「当たり前」を少しだけ感動あるものに変えていくこと。それが「今」「ここで」生きている僕たちにとって、本当に大切なものだという気がしている。

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著者紹介

牛島光(ドネルモ・ディレクター)

株式会社スペースRデザイン社員。ドネルモがリノベーションミュージアム冷泉荘(http://www.reizensou.com/)に事務所を構えたことをきっかけに、冷泉荘管理会社に就職。不動産の管理営業をしながら、イベントの企画、運営を行う。一番の趣味は自転車にたくさん乗ること。

牛島光さんじゃない人の2011年たち

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12/01/08 00:55 | コメント(0) | トラックバック(0) このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーのはてなブックマーク数 Buzzurlへ追加このエントリーのBuzzurlブックマーク数 livedoorクリップへ追加このエントリーのlivedoorクリップ数 Yahoo!ブックマークへ追加人が登録 POOKMARK Airlinesへ追加 Saafへ追加 ニフティクリップへ追加 add to del.icio.us add to Digg add to Reddit

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