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【新春企画】「わたしの2011年たち」 〜太田敬子さんのばあい〜


テキスト:太田敬子
構成:宮田智史

 

新春企画「わたしの2011年たち」

ドネルモHP新春企画「わたしの2011年たち」と題しました本連載特集は、ドネルモのスタッフやゆかりのある方々に2011年を振り返ってもらおうというものです。

第14回目は、京都のオルタナティブスペース”CAVE”のスタッフ・太田敬子さんの「わたしの2011年」です!今回、太田さんが紹介下さるのは「ももいろクローバーZ」!。アイドル戦国時代の天下統一を目標に掲げ、AKB48のプロデューサー・秋本康に「何をやってくるか読めないから不気味」と言わしめたアイドルグループ。それが「ももいろクロ−バーZ」。既存の女性アイドルグループの枠組みや作法を踏襲するグループが多い中、彼女たちの存在は、これまでのアイドル像を大きく書き換えるかも!?どうぞご覧下さい〜

 


ももクロに人間としてのあり方を見てうち震える

2011年年末――久しぶりにNHK紅白歌合戦を観た。知らないうちにずいぶんとツッコミどころの多い番組になったなあと眺めながら、AKBや少女時代など、赤組の若手出場者の多くがみな一様に「明るくて、ニコニコしていて、一生懸命で、カワイイ少女」を演じていることがふと気になった。時代が女の子たちに「少女っぽくあること」を要請し、彼女達は必死にそれにしがみつこうとしているような——

どことなくいびつで不安定な<少女>のあり方になぜだか私は目が離せなかった。

 

スクリーンショット(2012-02-03 17.41.35).jpg

《剥き出し系アイドル 「ももいろクローバーZ」出典は公式ホームページから

紅白にこそ出場しなかったが、なかでも特に強く惹かれた<少女>が、「ももいろクローバーZ(以下ももクロと表記)」だ(*1)。

AKB48結成の3年後、2008年に「週末ヒロイン ももいろクローバー」としてデビューした彼女たちは、「今、会いに行けるアイドル」という(どこかで聞いたことのあるような)キャッチフレーズを掲げつつ地道なパフォーマンス活動を続け、2011年にはさまざまなメディアに登場するようになった。

 

 

(*1)ももいろクローバーZ

画像は公式ホームページのものを借用した。ももいろクローバーZの詳細についてはこちら(http://www.momoclo.net/)を参照。

 

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《「Z伝説〜終りなき革命〜」ももいろクローバーZ

彼女たちのアイドル史的な変遷についてはあまり明るくないニワカファンなわけだが、その圧倒的なパフォーマンス、迸るエネルギー、半狂乱的な必死さに度肝を抜かれてしまった。歌にダンスに一生懸命な彼女たちを見ていると、まるで娘の初めての学芸会を見守る父の気持ちにも似た感動がふつふつと湧き上がってくる。

しかし、何よりも私が興味を持った点は、彼女たちの持つ「アイドルっぽくなさ=アイドルとしてのどうしようもなさ」にある。

たいていのアイドルは、「キュートなフェイス」とか「セクシーな生足(あるいは絶対領域)」とか「天然っぽいしぐさ」とか、何かしら「アイドルアイコン」のようなものをアクセサリーのように身につけ、それらを磨き上げることで「商材としての自分自身の価値」を高めようとしている。

ところが、ももクロはそのような戦略(・・)が全くといっていいほど見えてこない。ダンスや楽曲は確かに正統派なのだろうが、その命懸けっぷりはもはや職業としてのアイドルの域を越えてしまっているし、顔やしぐさも(もちろん可愛いが)一切コントロールできていない。それは「飾り気のない純粋素朴な女の子」というキャラを演出しようとしているわけでは全くなく、ただ単に、「人からどう見られるのか/見られたいのか」という俯瞰的な視点を備えていない、すなわち、「商材としての自分」を作り上げるために必要な武装の仕方を知らないとしか思えない(*2)。

 

(*2)商材としての自分

シビアなマーケティング/プロデュースの方向性とも併せて考えるに、彼女たちは意図的に「アイドルアイコン」で”武装”する術を習得していないか、もしくはそうすることを禁止されているのではないかとさえ疑ってしまう。

 

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たとえるならば、世はまさにアイドル戦国時代、多くの少女たちが「この戦、負けられぬ!」などと必死で武器や鎧をジャラジャラいわせているところに、全裸で「やあやあ我こそは……」なんて名乗り上げちゃったエキセントリックサムライガールズとでも言えようか。

そして彼女達は無防備な、本当の意味で「どこにでもいる中高生」として、多くの人々の幸せを祈りながら今日もパフォーマンスに汗を流しているのだ。それはもはやアイドルという商材としての<少女>を越えた一人の少女の「剥き出しの生」であり、「人間が人間としてあること」を貫こうとしている真摯な姿そのもののようにも思えてくる。

《「走れ」ももいろクローバーZ

中でもメジャーデビューシングルに収録されたこの「走れ!」のライブ映像には戦慄を覚えずにはいられなかった。うら若き少女がなりふり構わず必死に歌い、踊り、ファン(=消費者)はそれを心から「応援して」いる。しかしながら悲しいかな、それゆえに彼女たちはずぶずぶと消費され、すり減ってゆく…

目を覆いたくなるような資本主義の悲劇の中を、「強く気高く麗しく」、剥き出しのまま戦い続けているももクロ。彼女たちの生き様は、アイドルとして発されるメッセージを越え、「人が人としてあること」のむつかしさ、残酷さと、それでもなお清らかに今を生きるための闘いを身をもって叫ぼうとしているような、そんな気がしてならない。

なお、ももクロはわりと真剣に「紅白歌合戦出場」と「天下獲り」を目指しているらしい。その並列の奇妙さも気になるところだが、ひとまず彼女たちの2012年の活躍に大いに期待したいと思う。

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著者紹介

太田敬子(京都百万遍の秘密基地「CAVE」スタッフ)

福岡出身。京都の大学を卒業し、出版社に勤務。京都大学近くの“オルタナティブスペース”CAVEでよく遊んでいる。(たまに企画や広報もしている)(CAVEのfacebookページ:http://www.facebook.com/pages/CAVE/114357525326963

 

 


12/02/03 17:29 | コメント(0) | トラックバック(0) このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーのはてなブックマーク数 Buzzurlへ追加このエントリーのBuzzurlブックマーク数 livedoorクリップへ追加このエントリーのlivedoorクリップ数 Yahoo!ブックマークへ追加人が登録 POOKMARK Airlinesへ追加 Saafへ追加 ニフティクリップへ追加 add to del.icio.us add to Digg add to Reddit

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